今日は書籍のご紹介です。400メートルハードルの世界陸上のメダリストの為末さんと、立教大学教授の中原先生の共著です。平均寿命が伸びる一方で、年金制度はほぼ破綻寸前です。私は40代ですが、70歳まで働くんだろうなと考えています。過去、日本企業の特徴の一つに終身雇用があります。それももう幻想です。生涯に2社、3社と勤め先が変わるのは当たり前です。そんな時代認識の上で、ビジネスパーソンのキャリアについて解説しているのがこの本です。面白いのは、プロアスリートだった為末さんとの共著という事です。
プロスポーツ選手で活躍できる時間は短い
為末さんはオリンピックに3大会連続出場。世界陸上で2度メダルを獲得しているレジェンドです。今でこそリレーや100メートル走で世界と闘えるようになった日本ですが、当時はマラソン以外の陸上競技はパッとしなかった印象を私は持っています。そんな時代でのメダル獲得でしたから、陸上に興味のない私でも為末さんの名前は記憶に刻まれていました。
ご存知のようにプロスポーツ選手として活躍できる期間は短いです。また競技期間中も生き残りをかけてポジションを変えていくのがプロアスリートです。つまり一般人よりも若い時に、リセットボタンを押しているんですね。為末さんの経験を通して、ビジネスパーソンがキャリアを考える際のヒントを探ろうというのが、この本のコンセプトになります。
為末さん
この本の中では、為末さんが自分年表を作成しキャリアを振り返ります。為末さんは中学生の時に短距離走で中学チャンピオンになります。しかし、そこから記録が伸びず400メートルハードルに転向します。私は小さい時からNo1の人がオリンピックに出るのかと思っていました。しかし、陸上の世界では中学生までは優れた記録を出していた人が、高校や大学で消えていくことはあるありだそうです。早熟ゆえの苦悩でしょうか。為末さんも100メートル走の自分の限界を感じ、400メートルハードルまでキャリアチェンジします。キャリアチェンジする競技者はいますが(100メートルから400メートル)為末さん程振り切るのは珍しいそうです。為末さんが転向を決めたのは、100メートル走で負けた後に目の前で400メートルハードルの競技をぼんやり眺めていたそうです。するとさほど上手いとは感じなかった選手が、あれよあれよと価値上がって優勝したそうです。その様子を見て、「ハードルを跳ぶ技術を磨けば身体的なハンデを克服できるのでは?」と考えたのがきっかけだそうです。高校時代にこういう発想が出来ることが凄いですよね。
リセットボタンの押し方
キャリアチェンジはやたらめったらできないですよね。変えてばかりだとキャリアを逆に築けないことにも繋がります。この本では、キャリアチェンジを変更する際のヒントが書かれています。個人的に共感したのは、キャリアを下る前にキャリアチェンジするのが良いという言葉です。中原先生はキャリアの七合目ぐらいで次のキャリアを考えるといいのではと持論を語っています。私も同感です。キャリアチェンジするにも準備期間が必要です。ここで問題なのが、自分のキャリアが七合目かどうかは自分じゃ分からない問題です💦 ビジネスパーソンで言えばもう少し続けていれば出世できたのに、自分がやりたい仕事が出来たのにと思うこともあるかもしれません。また、今まで築いてきたキャリアを捨てるのはもったいないと感じるも当然です。ここばかりは、自分がキャリアにおいて何を大切にしたいかという価値観を持つ事。ちょっと引いた視点でキャリアチェンジが上手くいくかどうかを判断する視点の二つが求められるように思います。私自身は役職定年までまだ7年ありますが、あと3〜4年したら今のポジションから降りることも考えています。社内ではこんな事話せないですが💦
話があちこち脱線しましたが、30代40代のビジネスパーソンにはととも参考になる本です。20代は少し実感がわかないかもしれませんが、読んでおいていいと思います。