クマ坊の日記

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【経営】曖昧さが日本企業の伸びしろ

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大企業の幹部の方々とお話しをしていると「変革やイノベーションを起こす組織」についてご相談を頂きます。前回の記事で富士フイルムコダック社を引き合いに出して経営について考えましたが、企業変革について更に考えてみたいと思います。

 

 

経営戦略の始まり

初めて経営戦略について明確に世間に認知されたのが、マイケル・ポーター先生だったように私は捉えています。それ以前にもシューペンター先生など優れた考えを発表していますが、経済界へのインパクト、普及という点ではポーター先生が始まりだったといっても過言ではないと思います。ポーター先生の主張は、かなり乱暴にワンセンテンスで申し上げれば「ビジネスは立地だー!」です。しかし、前回の記事で取り上げた通り、ほぼ同じ立地に存在していたコダック社は衰退し、富士フイルムは生き残りV字回復まで果たしました。この違いを説明したのが、ケイパビリティと言う考え方です。

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ケイパビリティとは

ケイパビリティと言う単語は一般に馴染みの薄い言葉だと思います。元々は、ボストンコンサルティンググループが1992年に発表しました。capabilityを日本語に直訳すると、才能です。経営学では、「企業が得意とする組織能力」です。前回ね記事で取り上げた富士フイルムであれば、「既存リソースを活用する力」がケイパビリティと言えます。ケイパビリティに似た言葉で、コア・コンピタンスがあります。違いはケイパビリティが組織にまたがる力であるのに対して、コア・コンピタンスは固有技術とかもう少し限定的なイメージです。ただ、ビジネスパーソンがその違いを厳密に理解する必要はありません。

 このケイパビリティの考え方もまだ完成されているわけではありません。現在も発展中という感じです。と言うのも外部環境が安定している時と、危機的状況の時ではケイパビリティも変わると現在は考えられています。マネジメントの目的は機会損失を少なくして、生産性を高めることです。平たく言えば、利益をいかに稼ぎだすかと言う事です。故に平時であれば、合理的にいかに効率よく仕事を進めていくかがポイントになります。アメリカを中心とした外資系企業はROEが日本企業より総じて高いですが、生産性を意識した合理的な業務分担、人材配置をしているのもROEが高い理由でもあります。だから平時はいいのですが、有事になるとその合理性故に脆さも併せ持ちます。コダック社の事例はその際たる例でもあります。

 

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曖昧さと言う伸びしろ

日本企業の人事管理の特徴は、人事ローテーションです。設計から営業に、開発から人事に。社命一つで門外漢の職務に従事します。ローテーションを通じて、仕事の幅を広げ人材の成長を促してきました。もちろんこうした異動は非効率です。現場からすれば、仕事も分からない上司が来たら面倒この上ないわけです💦 ただ変化に強い組織、変化に強い人材と言う点で考えればこの非合理な人事ローテーションは経営上は意味があったりもします。また、日本企業の職務範囲は曖昧だったもします。「それ私達の仕事?」💦という役割分担の曖昧さに困った経験は会社勤めの方々は経験ありますよね。でも、これも変化に対するしなやかさという視点で捉えると日本企業の強みにもなるかもしれません。言い換えれば伸びしろと言ってもいいでしょう。

 

伸びしろを活かすも殺すもリーダー次第

日本企業の曖昧さは、変化の時代には強みに転じるかもしれません。少なくとも欧米企業はスクラップアンドビルドしなくてはいけませんから変革するコストは多大です。。まあ、彼ららもその点は理解しているのでスピードを大切にしているのですが。ここまで述べてきたように、日本企業は変化に対応するケイパビリティの素地は十分容しているように見えます。しかし、最大の弱みはそれをリードするリーダーが少ない事です。リーダーとは第一義的には経営者を指しますが、私が考えるのは管理職以上の人材です。企業規模が大きくなればなるほど、関わる人数が多くないと変革なんて厳しいですから。

 

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