クマ坊の日記

人材育成とビジネスとサッカーが中心のブログです

【経営】SXが日本の人的資本経営のトリガーになる

f:id:kumabou2016:20221208133915j:image

SXと言う言葉は、まだまだ一般には馴染みが薄いかもしれません。Sustainability Transformation の略になります。このSXが日本企業のこれからの人的資本経営のトリガーになる可能性が高いです。今日はSXと人的資本資本経営の関係性について考えてみます。

サステナビリティ経営とは

SXとはサステナビリティ経営への変革が目的ですが、そもそもサステナビリティ経営とは何でしょうか?定義はないのですが、私なりに定義すると「社会価値と経済価値を同時に創造する企業・組織へ変革し、ステークホルダーから常に指示され応援される状態を実現すること」です。なんで社会価値が大事かというと、地球温暖化を含めて社会課題を放置しておくと、事業活動の大前提である地球環境が危ないという背景があります。また社会価値と企業価値を同時に実現することが出来れば企業にとっても大きなビジネスチャンスになります。社会課題は来年解決できるようなものではありません。解決には長い時間が必要になります。企業の持続可能性の側面でも取り組む価値は十分にあります。

 

人的資本投資が鍵

ただサステナビリティ経営への変革は難易度が高いです。普通に考えれば社会課題に取り組めば取り組む程コストがかかります。経済価値との両立にはイノベーションが必要です。そのイノベーションの担い手である人をどのように扱うかが、経営の腕の見せどころになります。人をリソースではなく、投資の対象として見れるかどうか。人件費一つとってもリソースと捉えれば、人件費をいかに抑えるかという発想になります。これが投資対象だと考えれば、必要な人材にはコストをかけるという考えになります。これは、日本の伝統的な人事部からすれば、天動説から地動説に変わるぐらいの意識転換を求められることになります。実際、人件費も能力開発費用も、OECD諸国の中でも低い結果にとどまっています。企業は人なりと発言する経営者は多いですが、実態との乖離があります。

 

ストーリーが大事

政府は来年度から大企業に対して、人的資本開示を義務づける方針を打ち出しています。前述したように、人への投資額を高めていくのは大事ですが、むやみやたらに投資すれば良いという話ではありません。大事なのは、どのような経営戦略を描き、その実現にはどんな人材が求められるのか?経営戦略と人事戦略を連動させていかなければなりません。ここで課題になるのは、既存の人事部で経営と人事を両方考えられる人材が少ないということです。厳しいことを言えば、顧客や現場理解に乏しい人事部が大半です。既存の人事メンバーに人的資本開示を任せると、表を埋めるだけの作業になってしまう危険性があります。SX実現の為には、人事部の変革が避けて通れないと考えます。