経営資源と言えばヒト、モノ、カネ、時間、情報が代表的に想起されます。特にカネを筆頭に有形資産は企業を評価する際の大事な物差しでした。私は株式投資をしていますが、企業の財務諸表には目を通します。しかし、近年は有形資産に加えて無形資産を重視する風潮が高まっています。今日はそんなお話です。
有形資産では、企業の成長性は分からない
2008年にリーマンショックが起きた際に、実体のない対象への投資に対して猛烈な批判が起こりました。しかし、その一方で当時からもう財務諸表を見ただけでは企業の成長性は判断できないという悩みが出てきました。ソフトウェア等で急成長するユニコーン企業を見てると納得ですよね。事実、2020年のS&P500の企業価値の90%は無形資産だと言われています。無形資産の中でも特に注目度が高いのヒトになります。ヒトこそが企業の成長の源泉だと考えられるようになりつつあります。
比べたくなる
無形資産、人材に注目が集まるようななった背景は理解できたかと思います。投資家としては、無形資産の状況が比べられると投資判断しやすいなと思いわけです。企業も自国の産業の発展を願う国も同じことを考えました。どの企業にも当てはまる基準なんて作れるのかしら?と個人的には思いますが、ヨーロッパ、アメリカで注目される基準が出てきました。ISO 30414です。品質の9000、環境の14000と同じ流れです。30414がカバーする領域は11 になります。
- コンプライアンスと倫理
- コスト
- 多様性
- リーダーシップ
- 組織文化
- 組織の健康・安全・福祉
- 生産性
- 採用・配置・離職
- スキルと能力
- 後継者育成
- 従業員の可能性
まだ審議中ですが米国では、ISO30414に準拠した形で企業に、人的資本情報を開示を義務づけることが検討されています。欧州では2017年から取り組みがスタートしました。義務づけされているのは500人以上の企業に限られます。もっともISO30414への準拠は任意ですが。日本はまだこれからの段階です。ISO30414が普及するかは?ですが、無形資産、とりわけ人的資本に関して関心がますます高まるのは間違いないように思います。