クマ坊の日記

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【人材育成】今年の新入社員研修を終えて

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私は、企業の人材開発・組織開発を支援する仕事をしています。研修の企画・設計を行い、ときには講師として現場に立ちながら、組織や人の成長に日々向き合っています。そんな仕事をしていると、毎年この時期は特別です。新入社員研修の季節がひと区切りを迎えるからです。

 

今年も、多くの新入社員と出会うことができました。毎年のことですが、この季節は独特の緊張感と希望に満ちています。社会人としての一歩を踏み出したばかりの人たちの表情には、不安もあれば、これから始まる日々への期待もあります。こちらも自然と背筋が伸びます。

 


最近は「Z世代はこうだ」といった語られ方をよく見かけます。ですが、正直に言えば、世代で一括りにするのはかなり無理があります。今年出会った新入社員たちも、一人ひとり違っていました。考え方も、反応の仕方も、得意不得意も違う。ですから、雑に「今どきの若者」でまとめるのは、だいたい現場を見ていない議論です。

 


そのうえで、あえて今年の新入社員に共通する特徴を一つ挙げるなら、「素直さ」だったように思います。

 


素直に人の話を聞く。

素直にやってみる。

そして、うまくいかなかった時に、そこで固まるのではなく、失敗から学ぼうとする。

 


これはとても大事な力です。ビジネスパーソンとして成長する人は、失敗しない人ではありません。失敗を学びに変えられる人です。今年は、その意味で伸びしろを感じる新入社員が多かったように思います。

 


私は研修の中で、よく「人の成長は二つの軸で決まる」とお伝えしています。

 


一つは、経験です。

もう一つは、他者との関わりです。

 


どれだけ新しい経験を積むか。

そして、その経験を通して、どれだけ周囲からフィードバックや助言や支援を得られるか。

この二つが、成長の質を大きく左右します。

 


新入社員は、このうち「経験」にはかなり恵まれています。なにしろ、すべてが初めてだからです。電話応対も、メールも、会議も、報告も、失敗も、だいたい全部が新しい。そういう意味では、新入社員は経験の宝庫の中にいます。

 


だから、差がつくのはむしろ「他者との関わり」のほうです。

 


どれだけ多くの人と関係をつくれるか。

どれだけ周囲から声をかけてもらえるか。

どれだけ自分から助言を求められるか。

 


ここが成長の分かれ道になります。

 


では、どうすれば関係性をつくれるのか。ここで大切になるのが、挨拶をはじめとしたビジネスマナーや、報連相、PDCAといった仕事の基本です。派手さはありません。むしろ地味です。ですが、この地味な基本をきちんとやれる人は、やはり職場で信頼されます。

 


結局、今も昔も、上司や先輩から可愛がられる人のほうが成長します。

 


この「可愛がられる」という言葉は、少し昭和っぽく聞こえるかもしれません。でも本質を突いています。もちろん、えこひいきをしろという話ではありません。そうではなく、「この人には教えてあげたい」「この人を応援したい」と思ってもらえる人は、それだけ学ぶ機会に恵まれる、ということです。

 


人は、正論だけでは育ちません。関係の中で育ちます。だからこそ、仕事の基本は単なる形式ではなく、成長の土台なのです。

 


一方で、今年あらためて感じたのは、今の新入社員は、ある意味で昔よりも難しい時代に入っているかもしれない、ということです。その理由の一つがAIです。

 


たとえば、議事録を取る、情報を整理する、調べる、要点をまとめる。こうした仕事は、これまで新人が担うことの多かった役割です。そして、そうした役割を通して、仕事の流れを覚えたり、論点をつかんだり、先輩の思考の型を盗んだりしてきました。地味ですが、成長にとってはかなり重要な経験でした。

 


ところが、これらの業務は、これからAIに置き換わっていきます。効率化という意味では間違いなく良いことです。ただ、その一方で、新人が仕事を通じて学ぶ入口が減っていく可能性があります。

 


これは小さな話ではありません。新人の「下積み」が消えるということは、放っておくと成長の足場も消えるということだからです。

 


昔は、やらされる仕事の中に成長機会が埋め込まれていました。でも今は、それが自然には得られなくなりつつあります。だからこそ、これからは本人も職場も、意図的に成長機会を設計しなければなりません。

 


新入社員本人には、未知の経験に自分から踏み込む姿勢が求められます。職場には、その挑戦を支え、フィードバックし、機会を与える責任が求められます。

 


今年出会った新入社員たちは、全体として非常に可能性を感じる人たちでした。打てば響く鐘のような人も少なくありませんでした。だからこそ思うのです。大切なのは、その鐘をちゃんと鳴らせる環境があるかどうかだと。

 


新入社員の成長は、本人の資質だけでは決まりません。受け入れる側の関わり方で、大きく変わります。

 


育てる側が、挑戦を促す。

失敗を責めすぎず、学びに変える。

こまめに声をかける。

基本を丁寧に教える。

そして、成長を信じて関わる。

 


こうした当たり前のことを、当たり前にやれる職場が、結局いちばん強いのだと思います。

 


新入社員研修の季節が終わるたびに、こちらもいろいろ考えさせられます。今年もまた、たくさんの気づきをもらいました。来年の春には、どんな新入社員たちと出会えるのか。今から少し楽しみです。

 


育つ人は、やはり育つ。

ただし、その陰にはたいてい、良い経験と、良い他者がいます。

人の成長は、やはり一人では完結しませんね。