クマ坊の日記

人材育成とビジネスとサッカーが中心のブログです

【人材育成】SX人材は良き生活者

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私の生業は企業の人材育成を支援することです。イメージしやすいのは、管理職研修や新入社員研修の企画運営です。そんな私が近年、力を入れているのがSX人材の育成です。今日はSX人材の育成について考えてみます。

SX人材とは

SX人材とは、Sustainable Transformation が実現できる人材です。社会課題と事業価値を両立できるビジネスパーソンです。そのために大事なのは、Why?から始めれる感性です。私はセンター試験世代です。正解があって、いかに早く効率よく正解までの最短ルートを探しあてることを期待されてきた世代です。企業で働くビジネスパーソン、特に私と同じおじさん世代は、Howには長けていますが、Whyは考えるのが思いのほか下手です。企業自体が株主からひたすら利潤の追求を求められてきたので仕方ない面もあります。

しかし、パリ協定以降、世界の潮流は大きく変化しました。株主でさえも利潤だけでなく社会的インパクトを投資の判断基準にしますよと宣言するような時代です。企業は社会課題の解決と利潤の追求の両方を求められます。直接的な社会的インパクトと言わないまでも、これまでコストとして考えられていた取引先や従業員への給与はしっかり払った上で、利潤もあげることが株主から期待されています。そのようなビジネスをリードするには、何の為に自分達の仕事は存在するのかを自問自答できる感性が大前提になります。何故なら、利潤だけで考えたら社会課題に取り組もうという発想には行きつかないからです。大抵は社会課題に取り組むことはコストUPに繋がるからです。信念がないと、スタートラインにも立てません。

SX人材は良き生活者

では、自分達の仕事の意義から考えられるようなSX人材は育成が可能なのでしょうか?結論を申し上げればYESです。そのためには、仕事人間であっては駄目です。仕事以前に良き生活者であり、消費者であり、市民であることが求められます。会社で働いていると、良くも悪くもその企業風土に最適化した働き方、モノの考え方が身につきます。しかし、一歩会社を出れば私たちは生活者です。生活していれば、色々か問題意識が醸成されるはずです。しかし、仕事が忙しくて、会社と家の往復のような暮らしをしていると、生活者としての感覚が麻痺してきます。ライフワークバランスを整えると言う事は、そういう面でも大切なわけです。

心震える経験をする

環境問題や社会課題を放置しておくのは良くないと感じるのは難しい話ではありません。しかし、傍観者ではなく支援者、さらには主体者になるのはハードルが高いのが実際です。「理屈は分かるけど。。。」そこで大事になるのが、心震える経験です。ボランティア、越境学習、留職。頭ではなく、体も心も使って社会課題に飛び込む経験をすることで、人は初めて社会課題を自分事化することができます。研修効果と言う側面から見るとこれらは全て費用対効果が低いと見られがちです。しかし、長い目で見れば投資とも考えられます。SX人材が育てば企業のサステナブルにも良い影響を与えるからです。人材育成の時間軸をどのように見るかで、企業の人事施策は大きく変わってくるでしょう。