人的資本資本経営や人的資本開示というキーワードが大企業を中心としてバズワードになっています。しかし、冷静き考えると何を開示したらいいのか理解している経営者や人事担当役員は少なかったりします。今日は人的資本開示について考えてみます。
開示が望ましい19項目
安心してください。すでに国から指針が示されています。2022年の8月に内閣官房より非財務可視化研究会より項目が示されています。
- リーダーシップ
- 育成
- スキル/経験
- 採用
- 維持
- サクセッション
- ダイバーシティ
- 非差別
- 育児休暇
- 安全
- 身体的健康
- 精神的傾向
- エンゲージメント
- 労働慣行
- 児童労働/強制労働
- 賃金の公正性
- 福利厚生
- 組合との関係
- コンプライアンス/倫理
以上が開示が望ましい19項目であり、自社の戦略に沿う項目を選び、具体的な数値目標や事例を公表するように求めるとしています。もっとも全て開示するのは大変だから、出来る所から開示してくださいと内閣府もアドバイスしています。
企業価値の向上かリスク管理か
先にあげた19項目を眺めると、ぶっちゃけ2つのことしか求めていません。その開示されたデータさ、「あなたの会社の企業価値が高まっていることを示すものですか?それともリスクを抑える投資ですか?」です。そして面白いことに、国内外の投資家で重視している開示項目も異なります。海外投資家が注視しているのは、リスク管理。もっと言うと人権に関わる部分です。アメリカの政治的な分断を見ていても、より人権絡みに関してはセンシティブになっていることが推察されます。一方、国内は人材育成。もっと言うとデジタル人材の育成です。高齢化、人口減少が止まらない我が国で、企業が生き残っていくためにはDX化が不可避なのは明らかなのは自明なことです。
経営者が直接対話すること、誠実であること
何を開示するかも大切ですが、それ以上株主が期待しているのは、経営者との対話のような気がします。「我が社が何を目指しているのか?」「その実現の為にどんな戦略を描き、その実現のためにどんな人材が必要なのか?」オリジナリティと説得力のある説明が求められます。人材投資は財務諸表上では費用に計上されます。短期的には資本効率を下げることになるのて、PBRが1倍を切っている企業の経営者であれば、人材投資の話は避けたくなる気持ちも分かります。しかし、誠実にどれだけ投資家と対話できるかが問われる時代なのだと思います。