クマ坊の日記

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【組織】「しんがり」に学ぶエンゲージメント

 

 

しんがり 山一證券最後の12人 (講談社+α文庫)

しんがり 山一證券最後の12人 (講談社+α文庫)

  • 作者:清武 英利
  • 発売日: 2015/08/21
  • メディア: 文庫
 

最近、Amazon primeではまったドラマがあります。WOWOWが製作した「しんがり」です。江口洋介さんが主演で、1997年に潰れた山一証券に最後まで留まり自主廃棄に追い込まれた真相究明し調査報告を書きあげた人々の実話です。今日はそのドラマについて語りながら、オーセンティック・リーダーシップについて考えてみたいと思います。

 

 

山一証券

若い人たちは、山一証券は知らないですよね。当時、国内の4大証券会社の一角を占め100年間続いた大企業でした。当時、私の学生時代の後輩が山一証券に就職していたので驚いた記憶があります。社長が泣きながら「社員は悪くないんですー」と号泣していたのが印象的でした。でも、当時はなんで破綻したのかは理解していませんでした。無理な投資をしてバブルが崩壊したぐらいの認識でした。。。

 

欲にまみれて道を踏み外す

このドラマを見てその認識が誤りだったことに気づきました。最初のきっかけは、社内の権力抗争でした。山一証券には、法人向けの営業部隊と個人向けの営業部隊がありました。法人向けの営業部隊が社内での発言力を増そうと暴走したの結果でした。当時、山一証券は法人の山一と呼ばれる程イケイケでした。今では考えられませんが、「握り」という手法が当たり前でした。法人顧客から資産運用を丸投げしてもらう代わりに利益保証するというものです。時代はバブル真っ最中。株価は上がる一方なので「握り」ぐらいは当たり前でした。しかし、バブル崩壊で状況が一変します。利益保証なんかできないわけです。そこで、山一証券は「飛ばし」に手を染めます。含み損が生じた株を市場価格よりも高い価格で第三者に売りつけます。さらにそれでも損失は隠せないので、不正な会計処理を行い粉飾決算に手を染めます。その結果2700億を簿外債務として隠匿することになります。それが明るみになる事で破綻していきます。スタートは権力争い。嘘を重ねることで身動きができなくなり、バレたら会社が潰れる。社員が路頭に迷う。だから、経営幹部はさらに嘘をついて隠す。負のスパイラルもいい所です。ドラマの中では、「背信の階段がある」と言う表現を使っていました。出世と引き換えに不正に手を染める社員を生み出す組織文化。そして不正に関与する多くの社員が協業することで隠蔽体質が増長し会社を破滅に導く。山一証券の破綻は、経営や組織の在り方について多くの教訓を示唆してくれます。ただ、その後も世の東西を問わず不正をする企業が止まらないのを見ると、人間の業の深い生き物であるとも感じてしまいます。特に仕事が優秀だと言われる人は、強欲になる傾向があるので注意が必要です。仕事で成果を上げているのだから、多くの報酬を求めるのは悪い事ではありません。でも、何事も行き過ぎるとおかしくなります。

 

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愛社精神

山一証券の報告書を作成したのは、業務管理部でした。山一が破綻する以前は、社内ではどちらかと言うとスポットライトが当たらない部門でした。売上や利益を稼いでくるわけではないですから。しかし、そんな彼らが中心となって山一が破綻した原因究明を行い、世の中が驚く程の報告書を書き上げていきます。会社がなくなり、家族を養わなければいけない状況で、清算業務に最後まで勤めあげたメンバーには、ただただ敬服するばかりです。私がその立場にいたら、さっさと転職活動していたと思います💦

社会への使命感、去っていく7000人の社員に真実を知らせたい、自分達も知りたい。。。様々な感情があったのでしょうが、会社が心底好きだったんだなと思いました。いまは聞くことも少なくなった愛社精神という奴です。今時のフレーズだとエンゲージメントですかね。仕事が好きに加えて、会社が好きと胸を張って体現できる人は現在どれぐらいいるのだろうかなんて事も考えてしまいました。

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