クマ坊の日記

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【経営】電力の鬼が泣いている

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関西電力幹部の金銭受領問題が連日ニュースを盛り上げています。福井県高浜町の元助役が会長ら20人に3億2000万円分金品を渡していたことが税務調査をきっかけに発覚しました。今日はこのニュースに関する感想を書きたいと思います。

 

 

返そうとしたのは本当だろうけど

記者会見で関西電力の社長は、「受け取る理由がないので返却しようとしたが恫喝され、返却をあきらざめる得なかった」と発言しています。一般の人からすると、「そんなばかな!元助役が亡くなっているから、死人に口なしででまかせ言ってるんだろう!」と突っ込みが入るでしょう。しかし、私は発言通りだったんだろうなと感じました。縁あって電力会社とは仕事を共にしたことがあります。(関西電力とはご縁はありませんでしたが)インフラ系の会社の特徴で経営者から現場の末端の社員まで、使命感が強く、誠実で、真面目な人達の集団です。他業界と比べても際立っいるようにも見えます。その反面、調整役が多く、幹部になればなるほど総じて意思決定が弱い人が多いようにも感じます。電力事業には有象無象の利権関係者が登場します。今回は原子力発電所絡みでしょうが、例えば水力発電一つをとっても水利権や、漁業権など様々なステークホルダーと長期間にわたって関係性を築く力が求められます。だから調整能力が優れた人が経営幹部に登用されます。調整能力は裏を返せばコンフリクトを起こすような意思決定はしないことを意味します。グレーゾーンをグレーなままで維持できなければ調和は保てず、安定した電力供給も覚束なくなる可能性がある。だから、金銭授受も仕方ないというのが、当事者達の思考回路のように私は推察します。まあ、口が裂けてもそんな発言はしませんが💦

 

経営者のモラルが問われる

前述したように、関西電力の幹部の発言は真実なのでしょうが、経営幹部としてはやはりアウトです。神戸製鋼東芝の不祥事の際の記事でも言及しましたが、経営幹部はどんな事をしないか、どんな事を差し控えるかでリーダーシップの質、経営幹部としてふさわしいかが示されます。残念ながら関西電力の経営幹部は、誰一人として経営を資するには値しなかった人材だったように見えます。

 

 

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電力の鬼が泣いてる

電力業界は今でこそ、規制に守られている保守的な業界です。そして今回の事件に象徴されるように誠実で使命感が強いけど世間ずれしている経営幹部が多い業界です。しかし、日本に電力事業を立ち上げた経営者は現在とは真逆でした。それが、日本の電力王であり、電力の鬼と呼ばれた松永安左ェ門でした。松永さんは海賊と呼ばれた男で有名になった出光佐三と同年代を生きた人物です。戦前の電力業界は、小規模の電力会社が乱立している状況でした。そんな状況だから電力の安定供給なんて夢のまた夢でした。また、日本経済の7割を財閥が抑え、経済の自由競争とは程遠いのが実態でした。松永さんは、人々の暮らしを電気を通してよりよくしたい!国の産業の発展に寄与したいという思いで九州電力の前身の会社を立ち上げました。そこから商売の才覚と、反骨精神で電力会社を買収していきます。西から東に勢力を広げていきます。関東大震災が起こった時は、東京、横浜の電力会社に私財を投げ打って復興に尽力します。太平洋戦争が近づくと軍部が電力会社を国有化します。その動きに一人猛烈に反対運動を展開します。日本の発展は、自由な企業間競争を前提とした経済成長なしには考えられないとしたからです。国営化された後は、自から一切の事業から手を引いています。戦後はGHQの電力政策に一人反対し、現在の9電力体制発足のために奔走します。当時70歳を越えていました。粘り強い交渉に、最後はマッカサーも松永に脱帽したそうです。

 

電力業界の創始者の想いは、時を経てだいぶ変質しまいました。電力の鬼が関西電力の事象を見たら、きっと泣いているのではないでしょうか。

 

電力の鬼―松永安左エ門自伝

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海賊とよばれた男(上) (講談社文庫)

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