マネジメントの目的は、機会損失をなくすことです。その為に日常的に職場を管理職はどのようにマネジメントするかを、このブログでは話してきました。日々、成果を上げていくのはそれだけでも大変苦労します。しかし、時には未曾有の経営環境に見舞われることがあります。自分自身の経験だと、リーマンショックや東日本大震災後のマネジメントが来るしかった想いでがあります。本日は、そんな厳しい環境下におけるマネジメントについて考えてみたいと思います。
1年で売上の30%が減少した
私が生業としているのは、企業の人材育成です。景気が悪くなっても大切な教育施策は継続するのですが、東日本大震災の翌年は社内教育が中止になるケースが続出しました。30パーセント強の売上が落ちました。日本経済がおかしくなったのですから、各企業とも自己防衛に努めざる得ませんでした。
明るさより正直さ
この時、私は誤ったマネジメントを行なってしまいました。状況は深刻なのに、努めて明るく振る舞おうとしました。平時であれば、管理職が明るいのはとても大切な事です。上司の明るさが、職場の心理的安全性を担保し、それが主体的なメンバーの行動を引き出すからです。
しかし、危機に見舞われた時に、管理職が努めて明るく勤めることは逆効果です。現場の第一線のメンバーは、事業が経営が厳しいことは肌身で実感しているからです。仕事がキャンセルになるわけですから。そんな状況の時に、リーダーが根拠のなく明るく振る舞うと、メンバーは不安を感じます。「うちのボスは大丈夫かい?」と言う話になります。当時、課長になったばかりだったので、「管理職たるもの明るくあれ!」という原則に捕らわれ過ぎていたのです。業績は下降するばかり。職場のモチベーションもタダ落ち。自分自身も精神的に辛かったですね。
流石に、現状のやり方では限界を感じ、マネジメントスタイルを変更しました。変更するまで半年間の時間を費やしてしまいました😰。今振り返ると自分の能力に自信があったから、現状のやり方を否定出来なかったのだと思います。まず変えたのは、「正直である事」でした。職場の年間の業績見込みや、ビジネスの現状について、包み隠さず正直にメンバーと共有しました。自分自身の苦しい胸のうちも吐露しました。メンバーからも不安の声が次から次に上がってきました。しかし、この正直にメンバーと危機を共有してから職場の雰囲気が一変したことを鮮明に覚えています。
一人で考えるより、みんなで考える
当たり前の話ですが、現場には沢山の知恵が転がっています。危機の際は、全員の叡智を結集するのが効果的です。一つ一つの施策は小さな効果であっても、塵も積もれば山となります。また、同じ現状でも複数の眼でみることで、違った解決案が生まれたりもします。
売上よりも利益
これは有事の際の経営のセオリーですが、コストダウンを含めた利益管理をきめ細かに進めていきます。また、キャッシュをいかに手元に残すかを当時は意識しました。
振り返れば良い想い出
当時のメンバーとあって酒を飲むと、当時の話で盛り上がります。猛烈に働いたけど、当時は楽しかった。他事業が赤字で終わったのに、黒字で終えれたのは、「やったぞ!」という気持ちだった。あんな体験はもうしたくないが、今となっては良い思い出だ。
今はそんな風にメンバーと話をしますが、当時の私は「皆んなから恨まれているのでは?」「自分が課長でなければもっと早くから、素晴らしい対策が打てたのでは」「まだ課長の器じゃなかった」「許されるなら管理職を降りたい」なんて、日々悶々と過ごしていました。
今日は、平時と有事ではマネジメントが違うと言うお話でした。