私の生業は、企業の人材育成支援です。イメージしやすいのは管理職研修や新人研修です。テーマにもよりますが、研修の最後には何を変えるかを宣言して終わるのが定番です。しかし、変わらないのが人の性。今日は行動変容に繋がらないかを考えます。
大人の学びの特徴
大人の学びの特徴は、これまで培ってきた経験や、そこから獲得してきた価値観が、新しい知識やスキル習得の価値基準になっています。働く経験が少ない新入社員が素直に学ぶのは、まだ仕事における価値基準がないからでもあります。逆に階層が上るに連れ、確固たる価値基準が形成されるため、素直に学ぶことが難しくなります。階層が上がっていく人は、成果を上げている人がほとんどであり、社内的には優秀だと評価されている人たちです。新しい情報やスキルの獲得が新しい役割を担う上で重要であることも理解しています。しかし、重要だと気づいても、行動を変えるのは至難の技です。
時間がかかる
例えば、マネジメントの要諦は人と業務のバランスであり、管理職はまずは部下との信頼関係を築かねばならないというのがあります。信頼を得るというのは、日常のちょっとした行動の集積です。「人の話を聴く」「メンバーを観察する」「明るい挨拶をする」一つ一つはたいした行動ではありませんが、今までこれらをしてこなかった人が、新しくこれらの行動に変えることは大変です。なんたって今までやってこなかったわけですから💦 望ましい行動に変えたとしても、周囲かま変化を気づくにはさらに時間がかかったりします。管理職はプラスのフィードバックを周囲からもらう機会は少ないので、誰からも賞賛されないのが続くとやがて失望に変わり新しい行動は身につかないままで終わります。
やめるが効果的
私が管理職以上におすすめするのは、何かを変えるのではなく、自分の欠点をやめることを意識する事です。例えば、私の欠点は短気である点です。若い頃は特に後先考えずに、相手が悪いと思ったら喧嘩してました。30歳前後には、当時の部門長に仕事の仕方がおかしいと噛みついていました。今、思うとよく消されなかったと思います。懐の深い会社で良かったです。話が脱線しました。私はある日を境に、短気であることを止めました。正確には頭に血が昇ったら一呼吸置くようにしました。すると、周囲の評価が変わっていきました。私自身は正確には変わったのではなく、すぐ怒るのをやめただけです。人は相手の長所よりも短所に目がいきらがちです。欠点を補正する方がずっーと簡単だし、効果が高いというわけです。