このブログでビジネスパーソンの成長は、職場での経験が7割、上司・先輩からの薫陶が2割、研修などの学びが1割だとお伝えしてきました。そして、経験だけでは人は成長せず、振り返りを行う事が重要であることもお話ししてきました。しかし、経験して振り返りを行なっても成長できない人がいます。今日は振り返りについて考えてみたいと思います。
大安売りされている「振り返り」
振り返りを専門用語では「内省」「省察」と呼びます。「経験」→「内省」→「概念化」→「実践」という4つのサイクルを回すことを経験学習理論といいます。経験学習理論は、多くの企業の人材開発担当者から支持を得ている強力な理論です。そのため、企業の人事からは研修プログラムを企画する際に、「受講者に内省させてください」とリクエストされることも多くなっています。それ故に、企業研修の世界では、「内省」という言葉が大安売り状態です。
思考の枠組みは、自分で壊せるのか?
大人は自らの経験値から、この情報や考え方が自分にとって有益かそうでないかを判断します。この枠組みというのが厄介です。経験を積めば積むほど、枠組みは強固になります。そのため、「内省」をいくらしても、考え方を変えるのは至難の業です。また、経験に加えて厄介なのは権力です。階層があがるに連れてフィードバックの機会は減少しますし、そもそも自分の能力、判断に自信があるので「自分の枠組み」を疑って内省するのは難しいのが実態です。
自己認識には2種類ある
組織心理学者であるターシャ・ユーリック先生によると、自己認識には2種類あるとされています。内面的自己認識と外面的自己認識です。内面的自己認識とは文字通り自己の感情や思考について認識することです。外面的とは、周囲からどのように見られているかを認識する力です。そして、内面的自己認識が高いからと言って外面的自己認識が高いわけではありません。
例えば、自分の能力を過信する人は、自己評価が甘くなります。そのため周囲からみると改善すべきはそこじゃないのにと思われる事になります。だからいくら内省しても成長しません。逆に自分の能力に自信がない人は、「私の力はこの程度」と認識してしまい、自ら成長の伸び代を放棄してしまったりします。そのため、いくら経験を積んでも、いくら経験を振り返っても成長しないという事態に陥ります。
他者からのフィードバックを自らもらいに行く
自分で自分の枠組みに揺さぶりをかけるのが難しい以上、他者の力を借りるほかありません。わざわざフィードバックをしてくれる人は貴重な存在です。普段からの信頼関係、コミュニケーションが大切になるんですね。