Fish rots from the head dawn。
魚は頭から腐る。私がこの言葉を聞いたのは15年前でした。当時、担当させて頂いていた企業の社長からお聞きしました。その会社は私が担当する半年前に業績不振で創業以来、初めてのリストラを実施しました。机を並べていた同僚がある日を境にいなくなる。とても辛いですね。
前述した社長は、本社から立て直しの使命を受けて子会社の社長に就任しました。立て直しの定石通り、コストダウンを実施しました。会社存続のためにリストラを実施しました。
その会社は、業績一辺倒の会社でした。強固なビジネスモデルと強いブランドがあったため、真面目に仕事をしていれば儲かる会社でした。そのため、社員の人材育成にも無頓着。マネジメントも個人の感覚のみで実践。酷いものでした。
しかし、時代が変わり、環境が変わることで強みであったビジネスモデルが弱みに変わってしまいました。
そんな時期に私はこのお客様の担当になりました。社長に初めてお会いした時、こう言われました。
「リストラはしたくなかった。会社が存続するために決断しました。もうこんな思いはしたくありません。うちの社員は真面目で頑張る人ばかりです。会社が傾いたのは、経営が悪い。今まで人材育成に力を入れてこなかったつけが回りました。魚と組織は頭がから腐るのです。過ちを2度と起こさないためにも、我が社らしい、社員に喜ばれる人材育成の仕組みを整えたい」
私は、この言葉に感銘を受けました。社員を思う気持ちに感動しました。
私はまだ若かったですが、その想いに応えるためにプランニングしました。当時としては画期的な企画でした。
社内でもそんな企画は失敗するの大合唱。でもうちの会社のいい所は「面白そう。やる意義がある!」と強力してくれる上司や先輩がいる所でした。結局、社内外を巻き込んでの一大プロジェクトとなりました。一年半、休み無く働いたので辛かったですが、精神は充実していました。結果的にはそのプロジェクトは大成功しました。私も仕事を通して大きく成長することができました。
しかし、冒頭の社長はプロジェクトが本格的にスタートした一年後に癌で亡くなりました。後で聞いた話ですが、私と話をした時には、自分の余命が少ないと知っていたそうです。命をかけた仕事でした。経営者の覚悟、生き様を教えられました。
あれから15年。そのお会社は業績もすっかり回復し、地域からも尊敬を集める会社として事業を続けています。
「魚と組織は頭から腐る」7月のこの時期になると、ふと思い出す言葉です。