どこの企業に伺っても共通の課題として上がるのは人手不足。最近は人的資本という言葉が、人事の間ではバスワードになっていますが、そもそもの人が足りない、これからさらに減少していくのが日本社会です。今日は企業の人手不足について考えてみたいと思います。
2040年には1100万人の労働力不足
日本の人口が右肩下がりで減少していることは誰もが理解していることです。これを改めて数字で眺めてみると、その数が凄まじいことが分かります。今年、団塊ジュニアが50代に。来年は団塊世代がすべて75歳以上に。2030年には労働力が341万人不足します。341万人とは現在、中国地方で就業者数と同じ数です。そして、2040年には労働力不足は1100万人に。これは現在、近畿地方の全就業者数に匹敵する数字です。減少する人数の総数はもちろんですが、その変化のスピードが脅威です。2026年までは現状のような人手不足が続き、2027年に大きく労働力は減少し、それ以降は前述した通り、加速度的に労働力が不足していくと予測されています。人手不足を補う手段として、機械化やDX化が進みますが、そういう変化が進みづらい仕事もありますしね。
若手の育成も変わる
労働力不足が職場に与える影響の一つとして、職場に若手が入ってこない問題が、今後さらに深刻化すると思います。30人の職場があったら、20代は1人しかいないという光景は当たり前になるでしょう。周囲のほとんどが40代、50代の年長者。周りが一回り以上、年の離れた人ばかりだと、若手も気を遣います。いくら心理的安全性と言われても、安全性には限界があるわけですから。今後は配置や育成も、従来とは変えていかなくてはいけないでしょう。例えば、若手だけを集めた職場をつくり、育成に長けた管理職に預ける。若くから、力がありそうであれば抜擢人事をするとか。若手が早期に成長できる環境を整えられないと、ますます人手不足に陥り、事業継続にも支障をきたすことになっていくのだと考えます。