マネジメントにおいて方針を決めることが、まず初めにすべき大事なことになります。しかし、方針は実践して初めて価値を生み出します。そのためには、メンバーの誰に何をしてもらうかが重要になります。成果を出す管理職は、仕事のアサインが巧みです。今日はアサインについて考えてみたいと思います。
メンバーのやりたいことも聴く
誰にどんな仕事をアサインするかを考える前に、メンバーの強み、弱みを把握しておく必要があります。ここで注意しなくてはいけないのは、能力、スキルだけでなく、本人がやりたいことも聴いておくことです。もちろん職場は成果を出すことが求められる場所で、個々のやりたいことを実現する場ではありません。しかし、本人がやりたくて、かつそれを遂行できる能力がある仕事があるのであれば積極的にアサインした方が良いですよね。メンバーが主体的に仕事にコミットメントしてくれることほど楽なことはありません。また、やりたい事を聴いておけば、本人が希望しない仕事をする際にも役立つことがあります。メンバーが直接やりたい仕事でなかったとしても、その仕事をやることが、将来的に役立つなんてことは沢山ありますから。
ただ一つだけ気をつけなくてはいけないのは、あくまで「やりたいことを聴く」だけだということです。「やりたいことを実現する」とは違います。実現は約束できないし、安易な約束は逆に達成出来なかった時に、メンバーからの不信につながります。
仕事のスタイルも理解する
また、メンバーの仕事のスタイルについても理解しておくことも必要です。管理職としては、能力が高くて、チーム全体のことを考えて仕事するメンバーは大歓迎でしょうが、そんなメンバーは多くはいません。私が担当するチームには、コンサルタントもいます。彼ら彼女らの仕事のスタイルは一匹狼がほとんどです。日常の仕事自体が、毎日どこかのお客様の元に伺い、研修やコンサルを実施する内容です。そのため、自分の強み弱みを理解した上で、その特徴をしっかりと活かせる業務をすることを大切にしています。自分の専門領域について詳しかったり、のめり込んだりしますが、チームプレーは決して得意ではありません。だから、仕事をアサインする時も集団の調和が求められる仕事よりも、個人の裁量で大きな成果を残せる仕事をアサインするようにします。スタンドプレーの集積が結果としてチームワークに反映するようなイメージです。ちょっと特殊なケースですね。逆にメンバーに多いのは、チームの施策には協力的ですが、能力や経験値の低さから少し腰が引けていたりする人です。年上部下なんかに多いですね。ただ裏を返せば、出来ない人の気持ちには共感できるのが強みでもあります。こういう人がムードメーカー的な役割を担ってくれるとチーム力は高まります。私の周りでは出現頻度は少ないですが、関心が自分の成長と評価に偏っているメンバーもいると思います。能力高いんだけど、自分が評価されないと嫌ですというタイプです。このタイプは、評価基準を細かく設定し、その基準目指して突っ走ってもらえる仕事をアサインします。暴走するリスクもありますが、チームに推進力を与えてもくれます。