部下育成にも大きく関わりますが、メンバーに部門の方針や仕事の意義を伝えるのは、管理職にとって非常に重要な役割です。私の過去記事でも、方針翻訳について書いてアクセスの多いコンテンツになっています。今日は部下育成と結びつけて方針翻訳について考えてみます。
自分の役割や目標が腑に落ちないと育成は始まらない
どうやって育成するかの大前提の話で恐縮ですが、そもそもメンバーをその気にさせないと、育成はスタートが切れません。抽象度の高い上位方針を翻訳して、自分が担当する部署をどうしたいのか?それが社会にどのような価値を提供するのか?目標達成のためにどんな算段を準備しているのか?メンバー個々のキャリアにとってはどんな意義があるのか?面白おかしくイキイキとメンバーに語ることが求められます。メンバーがそもそも方針や目標に納得していないと、自分のスキルを上げようとも考えません。育成されるのは、かえって迷惑なんてことになりかねません。
成長に不可欠な挑戦空間
メンバーが仕事や目標に対して腹落ちすることで、育成に不可欠なストレッチした経験、すなわち挑戦空間をメンバーにアサインする下地が出来上がります。人の成長は7割が現場経験です。しかも、ちょっと背伸びした挑戦空間が成長の原資になります。いつも快適な空間では人は成長しません。逆にストレッチしすぎた混乱空間でも成長しません。しかし、上司がちょっと背伸びした仕事経験だと考えてメンバーにアサインした仕事でも、メンバー自身が役割や目標に納得していなければ、無茶振りな仕事アサインとしか認識しません。メンバーからすれば、挑戦ではなくて混乱な空間なだけだったりします。
言葉は武器
ヒト、モノ、金、時間、情報が経営リソースと呼ばれますが、管理職が実際に使えるリソースなんてほとんどありません。そんか中で、最も使える武器が言葉だと思います。仕事柄、大勢の管理職とお話します。優秀な管理職は例外なく、自分の担当部門の方針を、短期、中期で語れます。メンバー個々が受け取りやすい形まで翻訳してくれます。翻訳せずに上位方針を丸投げするような管理職で部下育成が上手な管理職も見たことがありません。方針翻訳のスキルはそれほど管理職にとって重要だということです。