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管理職に何故方針翻訳力が必要か?
どんな企業にも方針があります。経営が社員に対して、「今年はこうやっていくぞー」という方針です。経営から出る方針の多くは抽象的です。様々な部門の多くの社員に向けてメッセージを発信しなくてはいけないので、誰にでも分かるように抽象的で短い方針になるのが普通です。例えば25%コストダウンとか、売上対前年比10%アップとか。
当然、上位方針は段々と下の階層に下りてきます。その際、必要なのが管理職の方針翻訳力です。上位方針は前述した通り抽象的です。上位方針を具現化するために、我が部門では何をどのように実行していくかを部下が理解できるように翻訳していく必要があります。
駄目な管理職は、経営方針をそのまま部下へ伝えます。「社長が今年はコストダウンって言っるから」というような感じで。さらに始末が悪いのは、「私はおかしいと思うが、社長の方針だから。部長が言っているから従ってくれ」という管理職もいるのではないでしょうか。そんな事言われて仕事する部下の気持ちはどうでしょう?モチベーションが上がるとは言えません。
では、方針の翻訳とはどういうイメージでしょうか。今回は簡単な事例で説明してみたいと思います。
方針翻訳例
殿様(社長)
「家老!風が強い!火の用心をせよ!」
ここで殿様が「風が強い」と外部環境について述べています。これは客観的な事実です。外部環境から「火の用心をせよ!」という経営方針を打ち出しました。駄目な企業は、この殿様の発言を受けて、部長も「火の用心せよ!」課長も「火の用心だってよ」と末端まで抽象的な「火の用心」のスローガンだけが伝わります。そして、それぞれの部門が描く「火の用心」施策が展開されていきます。現場は指示通り「火の用心」を実施しますが、誰も自分のやっている仕事が「火の用心」に本当に役立っているか分からない状況に陥ります。
では、優秀な家老はなんと発言するでしょうか?
家老(部長)
「奉行集まれ!殿様から風が強い!火の用心をせよ!との指示が下った。そこで我々の部門では、風が強いので、火の始末に気をつけろ!そして水の準備をせよ!」風が強いは外部環境を表しているので表現は変わりません。後半の表現は「火の用心をせよ」から「火の始末に気をつけろ!」と少し行動が具体的になりました。さらに「水の準備をせよ」と新たなキーワードが加わりました。家老は火の用心を「火の始末に気をつけろ」と「水の準備」という要素に分解し、翻訳し直しました。
もちろん、奉行(課長)は部下に「家老が火の始末をせよ!水の準備せよ!」と言っているからと伝えてはいけません。優秀な奉行(課長)ならばどのように伝えるでしょうか?
奉行はここで考えます。「火の始末」をするためには具体的に何が必要か?「そもそも、城のどこで火を扱っているか分からないな?そうだ火を扱っている場所を地図で見える化しよう!」「水の準備をするために、貯水槽を作ろう!ただ水があっても火事があった時に消火できないと意味がない!消防訓練もしといた方がいいのではないか。。。」
奉行(課長)
「みんな集まってくれ!殿様から風が強いので、火の用心せよとの指示が降りてきた。家老はその指示を受けて、①火の始末に気をつけろ ②水の準備をしろとの指示をだされた。我々の課としては①の方針を受けて、火を扱っている場所マップに記載することで見える化したい。②に関しては、いつでも水が使えるように貯水槽を作る。さらにいつ火事が起こっても対応できるように消防訓練も実施したい。」
まとめ
ポイントは方針をより具体化していく点です。さらに上から言われたことにプラスアルファの価値を付加することです。付加価値=その人材の価値です。そしてどのような付加価値を与えるかという点にその人らしい仕事の工夫が生まれます。自分の創意工夫で仕事をすることで仕事に面白さが生まれます。
おまけ
では、奉行の指示を受けて優秀な足軽(一般社員)はどのような行動をするでしょうか?