メンバー育成は管理職の重要な仕事ですが、当然、管理職1人だけで出来ることに限界があります。職場ぐるみで育成する場を整えることが大切になります。今日は私の職場での仕掛けについてご紹介します。
人が育つ職場
経験の浅い若手は、上司や先輩からの1対1の指導だけで成長するわけではありません。研究によると、職場のさまざまなメンバーとの繋がりの中で育ちます。時にはアドバイス、時には厳しいフィードバック、時には励ましの言葉、同期とのライバル意識。。。多くの他者と関わることで、多様な経験を獲得できるし、他者からのフィードバックを得ることもできます。それが、振り返りを促し成長に繋がります。だから、管理職が意識すべきは学び合う職場風土を醸成していくことです。
プロジェクトは最良の学びの場
私の職場は多様な職種のメンバーで構成されています。コンサルタント、開発スタッフ、管理スタッフ。仕事も能率もキャリアもバラバラなメンバーです。コンサルタントや開発スタッフは、商品開発のプロジェクトを複数立ち上げて、仕事をさせています。興味があるテーマに手を挙げてもらい喧々諤々の議論しながらアウトプットを出してもらいます。真剣勝負の中でアウトプットを出していく作業が最も人を成長させると実感しています。プロジェクトを通して、コンサルタント同士は刺激を受け合います。開発スタッフにとってはコンサルタントとの仕事はストレッチした経験にもなります。逆に開発スタッフの技術的な知見は、コンサルタントの新たな気づきにも繋がります。プロジェクトを運営する際に留意しているのは、知的好奇心を刺激されるようなテーマを設定することです。成長を促すならワクワクの要素は外せません。夢中になるから、自然とストレッチした経験になるからです。
対象に合わせた場の設定
商品開発のプロジェクトに管理スタッフは入れていません。何故なら、彼女たちにとってはそのような場は、挑戦ではなく混乱空間だからです。無茶振り、嫌がらせにしか感じられないでしょう。そこで、管理スタッフ、開発スタッフ合同で開催しているのが読者会です。みんなで一冊の本を読んで感想を述べあうという活動をしています。本を選ぶのは、持ち回りで登板を決めています。感想は指定のフォーマットに記入して読者会の前に共有します。管理スタッフの多くの仕事はルーティンワークです。だから読書会の内容が直接、現在の仕事に役立つことはないでしょう。重視しているのは、人によって考え方や物の見方は異なることを読書会を通して実感してもらう事です。同じ本を読んでも、感想がバラバラです。その経験を通じて、お互いの人柄に触れたり、異なる意見を述べあうことで、職場での対話も増えていきます。対話が増えることで、フィードバックや助け合いも増え成長に繋がるという仕組みです。職場の様々な場所で、学び合う風土が出来るとだいぶ育成は楽になります。