4月に新入社員研修を担当した企業から、この時期は新入社員フォロー研修のご依頼を頂くことが多いです。すると、すでに何人かはすでに退職しましたとお聞きすることが多いです。企業の人事担当者からは、新入社員の離職防止についてご相談も頂きます。今日は若手社員の離職防止について考えます。
転職は当たり前
最初に入社した会社が相思相愛だったらラッキーですが、なかなか難しいのが実際です。学生も限られた情報の中で就職活動しなくてはいけませんし、企業も全ての情報をオープンにすることは難しいです。配属先の上司や職場風土さ様々ですから。合う合わないは宝くじのようなものです。だから、若くして転職する若手がいるのは仕方ないものです。
ただ以前とちょっと様子が異なるのが、職場環境がちゃんとしていても辞める若手が増えている点です。
将来が不安
居心地が良いし、職場の人間関係も良い、給与も平均以上だし、残業も少ない。いわゆるホワイトな職場に務めていても退職を選択する若手がいます。「この職場にいて自分は何者かになれるのだろうか?」「ここを辞めてもやっていける市場価値の高い人材に成長出来るだろうか?」「会社ね看板に頼って仕事する上司や先輩のようになりたくない」
一つの会社で務めあげることは、もはや難しいことは明らかです。当の経団連や多くの大企業のトップも表明しているわけですから。若手はもっと切実に、自分のキャリア開発に不安を感じています。この点を人事部も管理職も気づいていないように見えます。私もその1人でした。
心理的安全性だけでは足りない
私も昨年20代の部下を新に担当することになりました。その若手から、初面談で「今の仕事にやり甲斐を感じない。将来の自分のキャリアに不安を感じてる」とあっけらかんと告白されたことに驚きました。その若手が以前所属していた職場も元上司も良い人という評判でした。その若手自身も優秀で将来が楽しみという、周囲からの評価を獲得していました。まさか初めての面談で、そんな独白をされるとは。。。
でも、前述したように彼ら彼女らのキャリア観からすれば当たり前の話です。優秀な人ほど、悩みも多いかもしれません。
求めているのは、キャリア安全性
私が20代の若手を育成する際に意識しているのは、現在の仕事が将来にどのように繋がるかを丁寧に意味付けするようにしています。将来も社内キャリアの文脈ではなく、この会社以外の文脈で語るように意識しています。
現在の仕事が、自分の将来にどのように続いているのかを丁寧に説明します。そのようき下地を整えた上で、ちょっとストレッチした仕事を担当させ、フィードバックを行うサイクルを回すようにしています。
一年回して、やっと本人からも「現在の仕事が面白い」「これまでより成長を感じられている」との感想を聞けるようになりました。
私にとっても、貴重ない気づきを獲得することが出来ました。心理的安全性は昔から、それこそ心理的安全性なんて言葉が誕生する前から大事にしてきました。しかし、キャリア安全性についてはこれまで意識はしてこなかったです。
社内で必要な能力を高めた後に、対外的なキャリアは開発出来るという考え方でした。しかし、若手は対外的なキャリアから逆算しての、キャリア開発を期待します。その辺りの価値観や感覚の違いを、管理職は理解しなくてはいけないように思います。