クマ坊の日記

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【経営】社会の高齢化と同一労働同一賃金問題

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人事制度改革に関する相談が増えています。日本企業がこれまで導入していたメンバーシップ型からジョブ型への変更です。変更検討の理由は様々ですが、社員の高齢化は背景の大きな理由の一つです。今日はそのあたりの背景について考えます。

高齢化社会

皆さんご存知のように日本は少子高齢化社会です。このテーマでは世界トップを走っています。65歳以上の高齢者が全人口に占める割合は、2020年で28.1%、2040年には32.8%と、実に3人に1人が高齢者という世界が迫っています。当然、高齢者が増えれば、年金や介護、医療費など社会保障に係る費用が増えるのは明白です。その一方で、働き手の数は減少しています。そこで、国は高齢者雇用を促進させようと躍起になっています。2021年4月には高齢者雇用安定法が改正され、企業には65歳までの雇用確保義務と、70歳までの雇用確保義務が課せられることになりました。希望すれば誰でも継続雇用の対象となります。

 

シニア社員の給料リセット

企業の対応としては、定年廃止、定年年齢引き上げ、再雇用の3パターンがあります。この中で圧倒的に多いのは再雇用です。そして大半の企業は再雇用と併せて報酬減額を行います。減額の水準は、現役時代の6割から7割といったところでしょうか。多くの日本企業は、年齢が上がるにつれ報酬が上がっていく賃金カープで設計されています。早い話、現在のパフォーマンス以上の報酬を払っています。経営からすると負担感は半端ありません。その歪さを解消するために、再雇用時に報酬を減額することで、処遇のリセットを図ります。

 

同一労働同一労働問題

処遇リセットすれば経営としては問題解決かと言うとそんな単純な話でもありません。同一労働同一労働の問題がリスクとして残ります。同一の職務に従事する者には、同一水準の賃金が支払われるべきだという考え方です。この考え方からすると、再雇用に伴い報酬が減額されるのであれば、その減額に見合う職務へと再配置されてしかるべきです。しかし、そんな都合の良い職務はなかなかありませんし、本人からしても全く新しい仕事はそれはそれで困ります。でも、同じ仕事を続けているのに、年齢が60歳から61歳に変わっただけで、報酬が大幅に減額すればモチベーションが著しく減退するのも仕方ありません。そして、冒頭お伝えしたように今後、職場内の高齢者は増え続けます。モチベーション下がった社員が増えれば、職場全体の士気にも影響するのは必至です。

こんな背景から、企業は人事制度の改定を進めているのです。