クマ坊の日記

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【マネジメント】既存事業と新規事業はマネジメントが異なる

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私は現在、社内で稀有なポジションにいます。この三年間ぐらい既存事業と新規事業の両方を担当しています。そもそも1人で2つの領域を担当すること自体に問題も感じていますが、個人的には学びの多い経験をさせて貰っています。今日は既存事業と新規事業のマネジメントの違いについて考えてみます。

既存事業のマネジメント

マネジメントの本質は、機会損失の最小化です。ヒト、モノ、カネ、時間、情報というリソースをいかに効率よく回していくかを求められます。だから、マネジメントを担当する人は重箱の角を突くようなチェックをしがちです。メンバーからすれば、なんて細かい上司なんだ!と思いがちですが、マネジメントの本質からすると、構造的に細かくなりがちなのは仕方ない面もあります。ある程度、過去の蓄積から、仕事の進め方や目安となる数値も明らかになっています。それらの指標から逸脱している点を見つけ出し修正を図るのが基本です。もう少し優秀な組織は、指標や進め方の水準自体を引き上げるような改善をマネジメントに期待します。さらには、ライバルとの競争に打ち勝つために、指標や仕事のプロセスの前提自体を覆すような改革レベルを期待します。維持にしろ改善、改革でせよ共通に流れるのは既存事業では失敗しないことが期待されます。

新規事業のマネジメント

逆に新規事業で大切なのは、たくさんの失敗を許容するのが前提になります。その上で撤退基準を明確にしておく事が大切になります。まだ誰もが未踏峰の分やにチャレンジするわけですから、失敗するのが当たり前です。仮設検証のサイクルを最速で回しながら、事業化を進めていきます。ここで陥りがちなのは、特定の手法を心の拠り所にしてしまう事です。例えばリーンスタートアップやビジネスモデルキャンパスなど。初期段階はHowではなくWhyに集中することが大切です。大企業で新規事業を担当する人は、新規事業やりたくてその企業に就職したわけではありません。だから、Howを拠り所にし過ぎると上手くいかなかった時に心が折れがちです。しかし、Whyが腹落ちできていれば上手くいかなかった時もレジリエンスが効きやすいように見えます。

新規事業の経験者が社内に少ない問題

このように、既存事業と新規事業はマネジメントの仕方がだいぶ異なりますが、その違いを理解している人間は大企業の幹部には少ないのが実際です。既存事業のマネジメントのやり方で、新規事業を評価してしまうので、話がややこしくなります。

研修から始めるのはお勧め

私が大企業で新規事業を始める際にお勧めしているのが、越境✖︎プロジェクトベースドラーニングの手法を取り入れた研修形式でスタートさせる方法です。新規事業で期待されるのはイノベーションです。イノベーションは知と知の新結合です。優秀なビジネスパーソンであれば、社内、取引先、協力会社等とは普段からから知の結合は行っています。しかし、新規事業でのイノベーションとなると、普段会っている人や場所から離れなくては新しい発想は生まれません。自分が所属する組織の枠を離れるのが最善になります。つまり越境体験が重要になります。越境するだけでもだいぶ効果はありますが、もうひと工夫するのであれば越境先で問題解決に取り組む経験をすることです。越境先でお客様になるのではなくて、問題解決の主体者になることです。これらを研修という社員教育の枠組みの中で行ってしまうのです。受講者側にも会社側もハードルを下げて実施可能です。研修の枠組みでは、勉強の域を出ないと考える読者もいるかもしれませんが、意外にそうとはならないのです。安心して取り組めるというのは、想像以上に効果的ということです。