久しぶりにコンサルタント仲間と集まって飲んでいました。酒の肴は、新規事業開発について。そんな話題で盛り上がるのが、ちょっと変わっているよなと思いつつ、今日はその時のお話です。
コンサルタントはイノベーションを起こせない
戦略系のコンサルタントは、ロジックの達人ばかりです。ある事業会社が戦略系コンサルに新規事業を相談したが、結果的には新規事業を生み出すことはなかったというエピソードがきっかけでした。コロナに代表されるように、現代は不確実性で溢れています。経営者はこれまでのビジネスモデルが10年後も安泰だと考えている人はいなくて、多くがビジネスモデルの限界や賞味期限切れを感じています。既存事業でキャッシュを獲得できているうちに、新しい事業のタネ、イノベーションを起こさねばと危機感を抱いています。以前、ご紹介した「両利きの経営」がその代表例です。しかし、世の東西問わず、既存の事業がありながら、同時に将来の事業を生み出せている企業は少ないものです。
イノベーションは一人の妄想から生まれる
不二精油という会社があります。大阪にある会社ですが、食用油脂の食品素材加工会社です。一般の人には馴染みが薄いですが、私たちが普段食べているチョコレートなんかでは大変お世話になっている素晴らしい企業です。サステナブル経営が注目されている昨今、大豆ミートでも脚光を浴びています。国内シェアもNo1です。しかし、この大豆ミートはビジネスとして軌道に乗るまで60年の月日がかかりました。研究開発は1960年代後半まで遡ります。当時は大豆ミートの原料は使い道がなく捨てられていたそうです。加工する技術もありませんでした。当時の社長は、でもゴミとして捨てられている部分は、栄養価が高いのできっと将来、貴重な資源になると思いつき研究を進めてきたそうです。
当時、論理的に考えても財務的な視点でも、海のものと山のものとも分からない研究に投資するという判断は出来なかったと思います。ある種、妄想というか、信念というか、常人では考えつかない発想の持ち主からイノベーションはスタートしたわけです。
サラリーマン社長の元で、イノベーションは生まれるのか?
非上場の企業や、創業者が健在な企業であれば、側から見たら絶対にしないような意思決定も出来るかもしれますんが、上場企業のサラリーマン社長だとそんなある種狂った意思決定は出来ないのではないかとも考えます。その会社の文化に最適化された人物が出世する訳でもありますし、株主に対しても説明責任があります。株主からは論理的な説明を求められます。この辺りをどのように越えていくかが、大きな壁だと感じています。