クマ坊の日記

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【社会】子供の貧困問題と新規事業開発

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SDGsの目標の一番目は「貧困をなくそう」です。貧困の文字を見て、私がイメージするのはアフリカを始めとする発展途上国でした。でも、実際には私たちの生活の身近に貧困問題は存在します。今日はその中でも、「子供の貧困問題」とこの問題に取り組むLearning For AllというNPO団体についてお話します。

 

子供の貧困問題

貧困問題は大きく2種類に分類されます。絶対的貧困相対的貧困です。絶対的貧困とは文字通り、人間としての最低限の生存条件を欠くような状態です。食べるものや住む家がないなど。一方、相対的貧困とは、その国の文化水準、生活水準に比べて、適正な水準での生活を営むことが困難な状態を指します。具体的には経済的な理由で進学ができない。経済的な理由で部活に入れないなどです。この相対的貧困にあたる割合は日本では7人に1人です。1人親世帯に限れば2人に1人が相対的貧困にあたります。これはOECD諸国の中で最低の割合です。相対的貧困の解像度をもっとあげるために具体的な年収でお伝えすると、年間170万、月約14万以下で暮らしている子どもたちを指します。最低限の食、住は満たすことができても、子どもの教育や将来への投資に充てる余裕はありません。家庭の経済格差が子どもの教育格差に繋がり、子どもの貧困がまた次の世代、そのまた次の世代へと連載しています。

 

Learning For Allとは

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learningforall.or.jp

Learning For Allは「子どもの貧困に、本質的解決を。」をミッションに包括支援を行なっているNPO団体です。具体的には、学習支援、居場所支援、子ども食堂ソーシャルワーカーの派遣等を包括的に支援しています。ポイントは包括的です。何故なら子どもの貧困問題の背景が複雑だからです。単に学習機会がないというだけでなく、家に居場所がないとか、学習以前に食べることに困っているなど子どもによって背景は様々です。昔に比べて国や自治体の支援も格段と良くなっています。しかし、行政が故に、縦割りの限界もあります。子どもが抱える問題は包括的なのに、これは文科省の管轄、こっちは厚生労働省の管轄、そこは市区町村で対応。。。どの役所も頑張っているのですが難しい面もあります。Learning For Allは自治体や各役所と連携しながら、子どもに対する包括的支援を展開しています。まだ設立されて10年足らずですが、国やマスコミからも注目を浴びるNPO団体です。

 

出会いは偶然

SDGsに関する新規事業の検討を初めていた時に、我が社をノックしてくれたのがご縁でした。正直、企業が関心がある社会課題はカーボンフリーに関する項目や、女性活躍、環境問題等なので、「子どもの貧困問題」で我が社に出来る事は限られていると考えていました。ただ元来の好奇心からお話を伺ったのが最初でした。

Learning For Allの職員が若いことに驚きました。代表からして30代前半。職員の多くがいわゆる大企業を辞めて活動に参加していました。年収が3分の1になるのに、敢えてこのNPOに参画しているわけです。また、学習支援で講師を務めるのはボランティアの大学生です。ほとんどがいわゆる名門大学に在学しています。定員100名に対して、毎年400名近くの学生がこのボランティアに応募してきます。厳しい審査を乗り越えた学生がボランティアを務めます。普通に家庭教師のアルバイトしたら短時間で高収入を稼げるのに、貧困を問題を抱える子ども達の役に立ちたいという一心で参加しています。そんな若者たちに私は自然と惹かれていきました。

 

現場体験で気持ちが固まる

実際の支援の現場にも伺いました。下は5歳から上は高校生まで。様々な子どもたちと出会いました。正直、初めて学習支援の場を訪れた時は、普通の学童と変わらないように感じました。子どもたちはみんな明るい子ばかり。しかし、後から1人ひとりが抱える背景を伺って愕然としました。親の育児放棄、いじめ、障害、自傷行為。。。聞いているだけで心が痛くなりました。

じゃ親が悪いかというわけでもない。貧困家庭の多くの親は、子どもを大切に思い、一生懸命働いている人がほとんどだそうです。仕事を二つ三つ掛け持ちするも生活は改善しない。近年はコロナで働き口がなくなった方も多いそうです。。。

このような現実を目の当たりにする事で、何か役に立てることはないだろうか?と考えるようになりました。新規事業のビジネスモデルも彼らを少しでも支援できるように、でもボランティアではなく、ビジネスとして持続できることを目指してつくりあげていきました。

Learning For All の職員と話ているのは、今立ち上げた新規事業が消えてなくなるのが、最終の理想系です。何故ならその時は、子供の貧困問題が日本から廃絶されているという事だから。もっとも理想の話はまだ先の話。1ミリでも社会を変えれるよう全力を尽くすことあるのみです。

頑張っている人には、自然と人は惹かれるものです。この出会いは偶然でもあり、必然でもあったようにも感じています。