私は仕事柄、本を読む機会が多いです。ビジネス書が多いのですが、実は参考になることが多いのは古典だったりします。長い時代に渡って愛された古典は、やはり奥が深いです。今日は風姿花伝をご紹介します。
風姿花伝とは何か
この本は620年前に世阿弥によって書かれた「能」に関する秘伝書です。世阿弥は室町時代の能役者です。現代の能の形を完成させたと言われています。風姿花伝はもともと、たった1人の跡継ぎのために書かれたものでした。まさか、本人はこんなに多くの人々に時を越えて読まれるとは思いもしなかったと思います。
「能」に関しては私も門外漢です。歴史を紐解いてみると、それまでは「能」は猿楽と呼ばれていました。神社やお寺で開催されてました。室町時代になって世の中が平和になってくると、そんな村落で行われた猿楽が都市型のエンターテインメントとして変容していきます。当時の権力者てあった足利家が保護したのが最大の要因でしょう。また、それまで芸能は貴族などのごく限られた人が楽しむものでしたが、庶民が入場料を払って舞台を観にいくようになったのもこの頃です。
世阿弥はそんな時代の寵児でした。二十歳そこそこで一座の座長となり人気を高め、30代後半にはそのステータスを不動のものとしました。この本はそんな絶頂期に書かれた世界最古の演劇論であり芸能の書になります。
私の生業は企業の人材支援です。研修講師も担当します。研修講師は知識やスキルを保有しているのは当たり前ですが、保有しているだけでは一ミリも役に立ちません。受講者の琴線を震わせなければ行動も変わりません。行動が変わらなけれは成果も獲得できません。つまり、研修講師の技とは芸能に通じるようにも思います。そんな背景もあって、私はこの本に惹かれました。
どんな内容が書かれているの?
- 能を極めるにはどんな心得が必要か
- 年齢に応じた学び
- 模倣と創造
- 勝負の心得
- 能の原点
- ターゲットを明確に
- 強みを持つ
- 我が信条
詳細については、また次回書きたいと思います。
何故、花なのか?
能の秘伝に書かれているのに、何故、「花伝」なのか?疑問を抱きませんか?確かに響きは素晴らしいですが。世阿弥は、舞台上の魅力の事を「花」と表現しました。ここで面白いのは、美しいだけでなく、面白いとか珍しいも「花」と呼んでいるんですよね。
次回は、内容について紹介したいと思います。