クマ坊の日記

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ドラッカーとマネジメント

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今日はマネジメントの伝道師であるドラッカー先生について、サクッと説明したいと思います。ドラッカービジネスパーソンであれば必読の書です。特に管理職は必読の書と言っても過言ではありません。

目次

 

ドラッカー先生の生い立ち

ピーター・ドラッカー先生はドイツ系ユダヤ人でオーストリアに生まれました。22歳で公法・国際法の博士号をとって新聞社で働き始めます。その後、自分が書いた論文がナチスの怒りを買うと考え、28歳にアメリカへ移住してきました。アメリカに渡ってからはあちこちの大学で教えながら、本を執筆していました。

 

GMゼネラルモーターズ)にもの申す

ドラッカー先生の出世作が「会社という概念」という書籍です。この本は当時、最高の経営をしていると考えられていたアメリカのGM(ゼネラルモーターズ)の自社研究レポートでした。GM社がドラッカー先生に「我が社の経営方針や組織構造について第三者の目線で検証してみてくれ」と依頼されて書かれたものです。当時のGM社は事業部制という組織体制を敷いていました。事業部制を敷くことで分権が進み優れた経営効率を誇っていると考えれられていました。他の大企業はこぞってGM社の経営を模倣しようとしていました。

 

しかし、ドラッカー先生は「会社という概念」の中でGM社は確かに効率のいい経営を行っているかもしれないが、ヤバイ点も多々有るんじゃない?と指摘しました。例えば、「従業員を利益追求のためのコストとして考えているようだが、従業員はコストではなく、人間であり活用すべき経営資源だよ!」とか「GMの管理職は命令と管理しかしてないよね。官僚主義がいきすぎている。このままでは、将来の環境変化に対応できないのでは?」このレポートは当然GM社の幹部からすると怒り心頭の内容でした。その一方で、GM社以外では、「分権化」をいかに進めるかを考えるには素晴らしい内容だと賞賛されました。

会社という概念 (1966年)

会社という概念 (1966年)

 

 

ドラッカー先生はマネジメントの伝道師

ドラッカー先生は30冊以上の本を執筆しています。全て珠玉の名著ですが、私が最もお勧めするのは「現代の経営」です。私も今の仕事を始めたときに、上司から課題図書として最初に指示された本です。

ドラッカー先生はこの本の中で、経営管理者の仕事こそが事業に命を与え、経営管理者のリーダーシップがあってこそ経営資源(人・モノ・カネ)が動き出すと説きました。そして企業経営は内部のことだけ考えても駄目だよと話します。大きく3つの側面が重要だとしました。

  1. 顧客の創造: 「企業は顧客に価値を創造するためにある」
  2. 人間的機関: 「企業は人を生産的な存在とするためにある」
  3. 社会的機関: 「企業は社会やコミュニティの公益をなすためにある

ブラック企業がまだまだ存在する現在を考えると、より先進的なコンセプトとも言えます。第二次世界大戦直後にこの考え方を発表しているドラッカー先生の翠眼は恐れ入ります。

 

目標管理

多くの企業で目標管理が導入されています。この目標管理という言葉を生み出したのはドラッカー先生です。でもドラッカー先生が考えた通りの目標管理を導入している企業は数少ないのが現状です。多くのビジネスパーソンは目標管理と聞くと「ノルマ」や「評価」を想像するのではないでしょうか?でもこれはドラッカー先生が提唱した目標管理と正反対の考え方です。

 

MBO :Management by Objectives and Self control

意味は「目標と自己統制による経営です」

つまり、社員個々が自分で目標を設定し、PDCAを回すことが経営だと言っているのです。この考えにノルマなんて思想は一ミリも入っていません。企業は顧客を創造しなくては駄目だとドラッカー先生は主張しています。経営幹部が指示命令するのみでは、変化に対応できません。そして顧客に最も近い従業員こそ価値を創造できるということです。そして働く人々は人間であり、人間の創意工夫や創造性を信じているのです。だからこそ、MBOが大切なのです。

経営に関する言葉は、我田引水で使われてしまうことが往々にしてあります。どんなに優れた思想も、その意味を正しく捕らえなくては意味がありません。私の仕事はマネジメントの原理原則を働くビジネスパーソンにお伝えすることです。これからも肝に銘じて仕事していきたいと思います。それでは、今週もお仕事頑張ります。

 

新訳 現代の経営〈上〉 (ドラッカー選書)

新訳 現代の経営〈上〉 (ドラッカー選書)