どんな分野にもプロフェッショナルと呼ばれる人材がいます。特別な技能や知識を獲得した人で、特定分野の上位5%なんて言われたりします。今日はプロフェッショナルへの成長について考えてみます。
資格だけではプロフェッショナルになれない
私の生業は企業の人材育成を支援する仕事です。人材育成に関しては特に資格を有する必要はありません。他のコンサルタントと呼ばれる職種も同様です。明日から「コンサルタント初めました」と宣言すれば、スタートできます。ただ、当然それだけでは周囲の信頼を獲得することはできません。一番分かりやすい手段として資格を有する手段があります。MBAや中小企業診断士、社労士、コーチング、キャリアコンサルタント・・・。国家資格、民間資格さまざまな資格があります。これらの資格を取得する過程で、特定分野の知識やスキルを獲得することができます。だから、資格を取ることは大事なことです。しかし、資格を取得したこと=プロフェッショナルではありません。プロフェッショナルのスタートの入り口に立てたに過ぎません。ここからどのような道を選んで歩んでいくかが大切になります。
頑丈な高台か、ぬかるんだ低地か
私が敬愛する学者さんにドナルド・ショーンさんがいます。組織研究者で、熟達化の研究に関しても大きな影響を与えた人です。20年前に私は、この人の論文を読む機会がありました。その時に、稲妻に打たれたような衝撃を受けました。そのショーン先生は、プロフェッショナルを二つのタイプに分けることができると書いています。第一のタイプは、既存の理論やテクニックを活用しながら、「地盤が強固な高台を走る人」第二のタイプは「ぬかるんだ低地を歩もうとする人」前者は身につけた専門性にあぐらをかく人を示し、後者は自分が持っている専門性では解決が難しい問題に、常にチャレンジしている人です。後者のタイプをショーン先生が、「内省的実践家」と呼び、真のプロフェッショナルであると喝破しました。私も同じ意見で、従来の仕事の進め方にしがみつくのではなく、敢えて新しいやり方にチャレンジしている人が真のプロフェッショナルになれるのだと考えています。
レアな実務経験は宝物
コンサルタントの採用にも私は関わっています。その際、大切にしているのが修羅場経験や未知の仕事にどのように取り組んできたかというディテールです。資格を保有し、経歴も立派な方が面接に応募してきてくれます。でも、そのような経歴を持つ人は結構多くいます。寧ろ企業実務で珍しい経験を積んできた人、修羅場体験をディテールを交えて話ができる人に魅力を感じてしまいます。もっとも難しいのは、個人の経験により過ぎても駄目な点です。個人の経験、考えにより過ぎても他者に伝えるは難しくなるからです。でも、まあユニークな経験を積んでいる人、ユニークな経験を歓迎する人の方がプロフェッショナルとしては魅力的であるのは間違いないように思います。