我が社でも、新商品開発は毎年のように行っていますが多くが失敗に終わります。新商品開発の世界では千3つなんてことが言われます。新事業、新商品の開発の確率はそれぐらいという定説です。今日は新商品開発、新規事業開発に関するお話です。
中央から離れたほうが、自由度があがる
いきなり私自身の経験をお話します。私は新卒で今の会社に入ってから教育営業の仕事をしていました。定型の新入社員研修や管理職研修を販売していました。3年目にはいくつかの大手企業を担当させて頂き、結果も出して自信がついてきた所でした。そんな矢先に4年目で仙台の事務所に。若手が地域の事務所に異動するのは当時から普通でしたが、当時の仙台の事務所は閉鎖寸前の場所でした。同期が横浜や大阪への転勤だったので、モチベーションただ下がりだったのを覚えています。赴任先にはデスクもなく、椅子はパイプ椅子というコントのような状況でした💦 しかし、結果的にはこの異動をきっかけに、ソリューション提案力が高まり、独創的な仕事をしながら業績を上げることができました。
そのきっかけは、先輩コンサルタントの飲み会での一言でした。「新しい風は、いつも辺境から起こるんだぜ。だって中央にいたら自由な仕事は許されないだろう。中央から離れていれば監視の目は緩いし。社内的にも期待されていない部署だから、逆に成果をあげれば社内の反響も大きい。徹底的にお客様の立場に立って仕事したら成果もあがるよ」今、振り返ると、素直にそのアドバイスに従った当時の自分は偉いと思います💦
その後、コンサルタントになってマーケティングで他社の商品開発の支援をしたり、ビジネスリーダーと呼ばれる人の研修などを支援する機会に恵まれるのですが、花形部署にいる人ほど成果はあがらず、社内では変人扱いされたり、花形以外の部門の出身者の方が成果をあげていく様子を見てきました。
イノベーターは辺境にいる
前述したビジネスリーダーの研修でそれは強く感じました。ビジネスリーダー研修は、社内の優秀な30代を集めて実施されることがほとんどです。花形事業で成果を上げてきたエースが中心に選抜されますが、広く社内から募集するので、マイナーな事業部からも人が選抜されます。すると新規事業開発や新商品サービス開発のテーマでは、後者の方が圧倒的にユニークでビジネスになるような提案が上がってきます。マイナーの事業部=辺境の地にいた方が、会社の文脈に縛られずに自由に新しいことを試したり、会社の文脈とは違う文脈の接点や経験を持ちやすいように見えます。
問題を自分ごとにできるか
もちろん辺境の地にいれば良いというわけではありません。「自分は○○したい!△△の課題を解決したい!」という想いがないと始まりません。会社の文脈に染まってないだけでは、発想はユニークだけどそれだけなんですよね。一人称で語れるって大切です。
最初の壁は仲間集め
ただ初めから、「自分は○○がしたい!△△の課題を解決したい!」なんて人は少数派です。明確に自覚している人は、起業したり、大企業ではなくスタートアップ企業を選ぶはずです。でも、モヤモヤしている感覚があるし、妄想のようなアイデアはあったりするものです。なんたって妄想ですから、仕事仲間に話すのも恥ずかしい気持ちが先立ちます。でも、妄想でも発信してみることをお勧めします。社内で共感、応援してくれる人が現れると思います。
私自身も最初は、私の妄想からがきっかけでした。お客様の想いに応えたい一心でした。当時は社内のお偉いさんからは「絶対失敗する!」と一蹴されました。ただ、発信というか当時は「助けてください!」と叫んでいただけでしたが、「面白そう!」「クマ坊が頑張ってるから」という事で仲間が1人増え2人増えという形で増えていきました。また、最初の頃に勇気づけられたのは社外の人でした。「そのアイデアは面白いので、協力したい」企画の初期段階では社内で猛反対されたので、しがらみのない外部の人の意見はありがたかったですね。
イノベーションは人の結合で生まれる
イノベーションと言う言葉を生み出したのは、オーストリアの経済学者であるシュンペーター先生です。先生は、かなり乱暴に申し上げると「同質なものを掛け合わせても、せいぜい現状の改善レベルのものしか生まれない。異質なものを導入し既存の産業構造を創造的に破壊しなきゃ駄目なんだ!異質なものを導入することを新結合、すなわちイノベーションと呼ぶんだ!」と主張されました。すごく共感しますが、さらに自分の経験則を加味すると、異質な人の出会いが、仲間との出会いがイノベーションを引き起こすように感じています。