クマ坊の日記

人材育成とビジネスとサッカーが中心のブログです

【リーダーシップ】その場の状況によるんじゃない理論

f:id:kumabou2016:20200609160027p:image

前回の記事では、リーダーシップ研究の初期について解説してきました。最初はリーダーの特性に着目されてきたこと。次にリーダーシップのスタイル、つまり行動に関心が向けられました。しかし、どちらも実際にリーダーシップを発揮している人と照らし合わせてみると、説明がつかないことが出てきました。そこで、研究者が次に着目したのは、リーダーシップを発揮する人を取り巻く状況でした。

 

 

リーダーシップは状況に着目しろー理論

いくら立派な人材でも、取り巻く状況によってリーダーシップを発揮できる、できないは違ってくるのは当然だという理論です。個人の経験を振り返っても、かなり説得力のある理論です。有名なのは3つの理論です。

  1. コンティンジェンシー理論
  2. パス・ゴール理論
  3. シチュエーショナル・リーダーシップ理論

 

コンティンジェンシー理論

フィードラー先生が提唱した理論です。フィードラー先生はリーダーシップに影響を与える要因として3つ掲げました。

  • リーダーとメンバーの関係性
  • 仕事の手順やメンバーの役割が明確になっているか
  • リーダーが権限を持っているか

個人の特性や行動なんて調べても意味がない。リーダーがリーダーシップを発揮できる状況が大切なんだとぶった切りました。その上で状況の難易度によって、どのようなリーダーが有効かも実験しました。3つの条件が整っている時、または反対に厳しいときは仕事にフォーカスする志向が強いリーダーの方が成果だしやすい。どちらとも言えないような状況なら人を大切にするリーダーの方が成果をあげやすいとしました。チャンスな時もピンチな時も剛腕タイプが有効で、平時は人間味溢れる人が良いというイメージです。また、フィードラー先生は、リーダーの志向は固定的だから、状況に応じて剛腕タイプのリーダーを配置するのか、人間味溢れるリーダーを配置するかを考えるべきだとしました。

 

パス・ゴール理論 

コンティンジェンシー理論に対して、状況は大切なのは変わらないけど、リーダーはもっと状況に応じてリーダーは行動を変えるべきだとしたのが、ハウス先生によって展開されたパス・ゴール理論です。ハウス先生はリーダーシップを発揮するにあたっては、「メンバーの能力、経験、考え方」と「仕事が定型か非定型なのか、権限の範囲」の状況が大切だと唱えます。具体的には、やり方が決まっていない非定型の仕事の場合は、仕事の進め方や手順を指示命令してくれるリーダーがいいよね。逆にやる事が明確な定型的な仕事の場合は、メンバーに配慮するリーダーが効果的だとしました。そして、リーダーは状況を考えて、リーダーの係り方を考えなさいと主張します。

 

シチュエーショナル・リーダーシップ理論

コンサルタントののハーシさんとブランチャードさんの2人は、パス・ゴール理論はいいけど、ビジネスの現場で使うには抽象度が高すぎる!現場にはもっと分かりやすいリーダーシップ理論が必要なんだー!と言うことでシチュエーショナル・リーダーシップ理論を生み出します。その内容は、「メンバーの仕事の習熟度によって係り方を変えなさい」です。初めて仕事に取組む新人には、問答無用で仕事のやり方を一方的に指示しなさい。仕事にある程度習熟してきたらメンバーからの質問や疑問にも丁寧に答えてるように接しなさい。メンバーの仕事の水準が期待レベルに達したらなら、コーチング的なアプローチで、メンバーに考えさせ仕事の水準をさらに上げさせなさい。メンバーがエース級に育ったら、権限を委譲して仕事を任せなさい。実務家だけあって、非常にパワフルで協力な理論でした。

以上3つを総称して、リーダーシップの状況適合理論と呼びます。状況に着目している点は共通ですが内容はバラバラですよね💦

 

「リーダーは生まれつきだー理論」「リーダーシップは行動だー理論」「リーダーシップは状況によるんじゃない?理論」の3つを紹介してきましたが、いずれもリーダーがメンバーに働きかけるという枠組みの中で研究されてきた理論でした。でも、リーダーがリーダーシップを発揮するにはそもそもメンバーがいないと成立しないよね?と言う事で、リーダーシップ研究者の関心は、メンバーとリーダーとの関係性に移っていきます。そのお話は次回に。