今週はリーダーシップ理論の変遷について紹介しています。前回までの理論は、リーダーがリーダーシップを発揮するためにどのように働きかけるかが主題でした。しかし、よく考えてみればリーダーが働きかけを工夫しても、そもそもメンバーがいなければリーダーもリーダーシップの発揮もないんじゃない?という事に研究者は気づきます💦 そこで、リーダーシップ研究の関心はメンバーとの関係性に移ってきます。今日はそのお話です。
上司は選べない
部下は上司を選べません。会社から管理職が任命されますよね。でも、上司だからと言ってリーダーシップが発揮されるわけではありません。部下からの信頼を獲得することで、初めてリーダーシップを発揮することができるわけです。そこでメンバーからリーダーへどのように信頼が蓄積されるのかを研究した人がいます。ホランダー先生の信頼蓄積理論です。この理論では、信頼蓄積には「同調性」と「有能性」の2つ重視します。まずは郷に入ったら郷にしたがえです。メンバーのやり方を尊重しないと始まりません。しかし、いつまでも仲良しこよしではチームをリードすることはできません。こいつは、チームに大きな貢献をする人物だと有能性を示す必要があります。貢献による信頼を蓄積する事で、もっと大きな変革をリードできると考えました。
親分子分
上司と部下の関係性をよく観察すると、すごく相性が合う関係と、そうでない関係性が存在しますよね。前者は行き過ぎると親分子分な光景も見られます。この事に着目したのがグレーン先生による。リーダー・メンバー交換理論です。リーダーとメンバーの相互作用のあり方は一律でないよ。上司の指示命令に対して、メンバーが従う場合、当然、報酬やポストを上司はメンバーに提供するわけです。また、報酬やポスト、それ以外にも称賛も含まれますが、メンバーによって一律ではありません。好き嫌いが反映されるわけです💦 もちろんメンバーもこの上司ならついていく、逆についていけません!という個人毎に上司との関係性は変わってくるわけです。そこで、上司も部下もむやみに敵を作るのは勿論、垣根を作らない方がいいですよという話になります。
リーダーとメンバーの関係性に着目した理論を本日は紹介してきました。しかし、この関係性が有効に機能するのは、決められたことを決められたように進める仕事で、かつ人数も小規模に過ぎません。企業全体に変革を起こすには不十分。その為、研究者達の関心は変革型リーダーシップに移っていきます。