withコロナの現在は、毎日がリーダーシップを鍛える場のように感じています。多くの職場で仕事の進め方を否応なしに変更を求められるわけですから。特に意思決定を求められる管理職は大変ですよね。こんな時さ、管理職は楽観的な方が良いというお話です。
軽業師ワレンダ
軽業師ワレンダこと、カール・ワレンダさんは1900年代初頭に綱渡り芸人として活躍しました。命綱なしで、サーカス内に留まらず高層ビルの谷間や断崖絶壁の渓谷を渡りました。1978年に残念ながら綱から落ちて転落死します。ワレンダさんは、それまで綱渡りに成功してきた時は、渡りきる成功イメージしか持たなかったそうです。しかし、最後のチャレンジの時は落ちないことに意識を向けたそうです。この逸話から、リーダーシップを研究していたウォーレン・ベニス先生が、将来の見通しのことを「ワレンダ要因」と名づました。ベニス先生がワレンダ要因に着目したのには理由があります。多くのリーダーにインタビューすると、優れたリーダーは前向きで楽観的でした。どうやったら成功するかの視点で考えていたのです。そこで、優れたリーダーと呼ばれる人たちは、ワレンダ要因と自分自身を肯定的に捉え、周囲をワクワクさせると考えるようになりました。ベニス先生はこの要素を含めてビジョナリー・リーダーシップ理論を唱えていきます。
ビジョナリー・リーダーシップ
ベニス先生が唱えたビジョナリー・リーダーシップについてもう少し詳しく見てみましょう。ポイントは4つです。
- 魅力的なビジョンを描く
- 意味を伝える
- 言行一致で信頼を勝ち取る
- 自分を活かす
魅力的なビジョンを描く
優れたリーダーは、メンバーが共感できるような魅力的なビジョンを描きます。スタートアップの企業であれば周囲が想像もしないようなビジョンを掲げます。誰も想像したことのないビジョンだから最初は反対されたり、賛同を得るの苦労するかもしれません。逆に既存事業の場合には、過去、現在、未来を丁寧に紐解いて魅力的なビジョンを掲げる必要があります。歴史がある事業や製品になればなるほど、多くの人々が関わり、関わった人の数だけ思いがあります。既得権益もシガラミもあります。それらをぶった斬っただけでは前に進まないものです。すでに存在するロープを一回バラして、もう一回紡ぎ直すプロセスが必要になります。
意味を伝える
優れたビジョンをあらゆる手段を使って、メンバーに伝えることが必要です。優れたリーダーは伝え方が上手ですよね。最近だとドイツのメルケル首相のcovid19に関するスピーチですね。国民に想いを馳せながら自分の言葉で分かりやすく伝えられていました。他国の首相のスピーチながら、世界中の人々の心を打つ内容だったように感じます。国語力って大切です。
言行一致で信頼を勝ちとる
いくらビジョンが素晴らしくても、どんなに伝えるのが上手でも、リーダーに対して信頼を感じることが出来なかったら何も実現しません。周囲からの信頼があってこそのリーダーです。ベニス先生はビジョン実現に至る過程での、リーダーの行動こそが信頼の源泉だと考えました。言行一致ですね。
そして、最後の自己を活かすが、冒頭にお伝えしたワレンダ要因と自己肯定感です。自分の強みを明確に認識して仕事を楽しみ、周囲を巻き込む事も楽しめる。そんな人物が優れたリーダーという考えです。