先日、ガイアの夜明けで三菱重工業が手がける、国産リージョナルジェットの開発の舞台裏を紹介していました。新しい技術で未知の分野に進出していくのは本当に大変だし、このプロジェクトに携わる全てのビジネスパーソンに敬意を表します。今日は新規事業の成功について考えてみたいと思います。
リーンスタートアップという考え方
MRJは当初の予定より開発が大幅に遅れています。開発費用も超過し、三菱重工業の財務にも大きな影響を与えています。計画の発表から現在に至るまで6人の社長交代する始末。でも、国産の飛行機を開発するのはYS11から実に50年ぶり。世界の航空規制も日進月歩で変化するなか上手くいかなくて当然です。でも、もう少し上手くマネジメントできなかったのだろうか?とも思います。
経営の最前線では、「リーンスタートアップ」という理論があります。これは企業家のエリック・リースさんがトヨタ方式を持ち込んだ考え方です。多くのハイテクベンチャーが採用し、米国政府も普及を後押ししています。
その内容を凄くザックリ説明すると、やってみよう精神が事業を潰す。だから、「顧客に価値を提供できなものは無駄」「それが検証できなもの、学びにつながらいものは全て無駄」。仮説検証サイクルを回すことが事業化においては何よりも大切だと主張します。
構築→計測→検証のサイクルを回す
リースさんは、まず試作品をつくりなさいと言います。エンジニアは不完全なものを人目にさらすことを嫌います。良かれと思って余計なことを盛り込みます。でも、それではダメなのです。検証すべきアイデアだけを盛り込んだ、最小限の変更でいいのです。そうでなければ比較検証もできませんし、時間も人手も無駄になると説きます。ビジョンは滅多なことでは変えませんが、それを実現するためには戦略を柔軟に変えていかなくてはいけない。ただし、両足を一度に変えたら倒れてしまいます。だから、片足つづ軸を維持しながら、まるでバスケットボールのピボットのように。そしてシュートが狙える、これなら事業化できると固まってから大勝負に出ることが大切です。タイミングも大切なんですけどね。
- 作者: エリック・リース,伊藤穣一(MITメディアラボ所長),井口耕二
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2012/04/12
- メディア: 単行本
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