今日はマニアックな本の紹介です。ずばりフットボール好き、しかも戦術好きな人にオススメの本です。「モダンサッカーの教科書」です。

モダンサッカーの教科書 イタリア新世代コーチが教える未来のサッカー
- 作者: レナート・バルディ,片野道郎
- 出版社/メーカー: ソル・メディア
- 発売日: 2018/06/04
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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この本を手に取った理由
作者はイタリア新世代コーチのレナート・バルディさんにスポーツライターの片野道郎さんがインタビューする形で進みます。目次は下記の通りです。
- ペップ・グアルディオラ研究
- モダンサッカーの最新トレンドを読み解く
- 監督の仕事が変わる
- ロシア・ワールドカップ展望
海外サッカーの本は、翻訳が難しかったり、背景や登場人物の情報に関する知識不足で読み進めるのが難しい場合があるのですが、この本はとにかくわかりやすい。私がこの本を手に取ったきっかけは、横浜F・マリノス。
横浜F・マリノスを指揮する、アンジェ・ポステゴクルー監督はポジショナルプレーを志向しています。世界的にそのポジショナルプレーの最先端を行くのが、マンチェスターシティのペップ・グアルディオラです。その戦術がわかりやすく解説してあったのがこの本を手にした理由です。本読みながら、チーム戦術に関して自分の見立てと重なる部分もあったし、「へ〜そうなのか」という新たな発見もありました。
オタクが世界を変える
この本の作者であるレナート・バルディさんはイタリアのトップリーグであるセリエAでコーチ経験がある一流のコーチです。でも経歴はとてもかわっています。プロ選手経験が重視されるイタリアの監督・コーチ業界において一介のアマチュアコーチから駆け上がりました。1人のサッカーファンとしてたくさんの試合をTVで観戦していました。2008年にペップ・グアルディオラ率いるバルセロナに魅せられて、どんどんバルセロナオタクに傾倒していきます。この時、プロのサッカーコーチになりたりとは全く考えていなかったそうです。実際、大学を卒業してからは税理士として働いていましたし。しかし、少年サッカーの指導をするうちに、サッカーコーチという仕事を本格的に突き詰めたいという気持ちが高まっていたそうです。その後は様々な人の縁、偶然のつながりでアマチュアの10部リーグのコーチに。10部での成功をきっかけに、ステップアップしていきセリエAのカテゴリーのコーチまでキャリアアップしていきます。ちょうど日本の本田選手がACミランに移籍したときのコーチングスタッフの一人を務めています。ACミランといえばイタリア屈指の名門クラブです。選手として全くプロの経歴がない人が、そんな高みにまでキャリアップしたことは驚きです。
好きで好きでたまらないことを、突き詰めると成功することもあるというお手本です。裏を返せば、いいものであれば「いい!」と認めることができる、イタリアサッカー界の懐の深さも感じました。