クマ坊の日記

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【ビジネススキル】私たちの物事の見方は、どのように形成されるのか?

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財布の中に千円が入っていたとして、それに対して千円しか入っていないと考えるか、千円も入っているかと考えるかで、その人の行動は180度変わります。前者であれば、ならべくその日は出費しないよう節約するでしょう。逆なら千円で何ができるかワクワクしながら使い道を考えると思います。ビジネスの現場でも、どのように物事を見るかでアクションは変わります。ですから、自分の物事の見方を理解しておくことは大切です。今日は私たちは物事をどのように決めているかを考えます。

 

推論のはしご

物事の見方のことを心理学では、認知と呼びます。「外界にある事象を知覚し、それが何なのかを判断する」ことを意味します。言葉にすると難しく見えますが、誰もが毎日行っていることです。この認知について研究したのが、米国のクリス・アージリス先生です。先生は認知のメカニズムを推論のはしごを使って解説しました。認知は、事実や経験の中から、ある特定の事実を知覚することからスタートします。この時、知覚した事実をどのように判断するかは、過去の経験や知識によって形成されたものの見方に依存します。

私の娘は小学生ですがもう三年間不登校です。不登校になった時は混乱しました。小学生の低学年で不登校になるなんて理解できませんでした。最初は何か学校でトラブルを抱えていると思い原因を探そうとしました。原因が特定できないと、今度は娘が甘えていると考え、無理矢理学校に連れて行こうともしました。今、振り返ると酷いことをしました。

しかし、その後、不登校について調べることで新たな知識を獲得することで、不登校に対する認識が変わりました。子供によって合う合わないは当然のこと。大切なのは学校に行くことではなく、娘がウェルビーイングでいられること。話がだいぶ脱線しましたが、私の例のように、新たな事実に対する知覚と判断を行うと、その経験を通して新たなものの見方が再形成され、蓄積されていきます。

 

自分の認知を4つに切り分けて考える

推論のはしごと書きましたが、実際これを自分で認知するのは辛い作業です。過去の経験や知識から確信に至ったのが現在の自分の見方、考え方であるからです。娘の不登校に関しても、新たな考え方に至るまではかなりの葛藤がありました。自分達が踏み込んだことがない未知の領域です。周囲にロールモデルもいません。娘の将来を考えると不安でたまらない時期もありました。夫婦でかなり悩みました。不登校に関する私たちの意見、経験、感情、価値観を再構築していく作業でした。本を読み、経験者の話を聞き、その後に夫婦で対話する。それは辛い作業でもありました。現在の教育方針まで、夫婦で腹落ちするまで半年間かかりました。

 

アンラーニングに必要なしなやかな精神

これだけ変化が激しく、多様な価値観が現代においては、知識や経験をラーニングする一方で、それらを手放していく、アンラーニングしていくことが求められるのだと思います。しかし、この手放す作業は、とても勇気がいる作業でもあります。そのためにさしなやかな精神が一番大切なような気がしています。折れそうで折れない、落ち込んでも反発できるような、しなやかな心です。