ビジネスモデルキャンパスの解説で補足がありました。今日はコスト構造の考え方について説明していきます。多くの経営者が一番気になるのは、新規事業が儲かるかどうかです。だからしっかりとコスト構造に関して説明できるように準備しておくことが求められます。
持続性のあるコスト構造を設計する
事業の基本はGoing Concernです。そのためには持続性のあるコスト構造を設計する必要があります。また、コスト構造は見えずらい部分でもあるのでライバルとの差別化、模倣困難性を獲得する点でも重要になります。しかし、企業が新規事業を立ち上げる時に大きな壁になります。なぜなら、その企業で常識とされているコスト構造に囚われてしますからです。スタートアップと違ってリソースをフル活用できることが新規事業を立ち上げる際のアドバンテージになります。でも、リソースにアクセスできることが諸刃の剣にもなってしまうのです。回避するためには以下の4つの視点をもっておくことです。
- 常識を疑う
- 他社に任せる
- 固定費を変動費化する
- やらないことを決める
常識を疑うは前述した通りです。その業界、その会社で長く働けば働いているほど、仕事の基準を守れば守ろうするほど常識からは抜けだせません。他業界をベンチマークするのが効果的です。私は以前、JOYFIT24というジムに通っていました。設備だけ置いてあって、24時間好きな時間にトレーニングができるというものでした。スポーツジムにはスタジオやプールなどの設備が必要、トレーナーが必要というこれまでの常識を覆すことで、低コストを実現しています。常識を疑うの好例ですね。
他社に任せるは自社のコア以外は、他社に任せるというものです。例えば「お〜いお茶」で有名な伊藤園は、仕上げ加工は自社で行っていますが製造工程の大部分は外部に委託しています。緑茶事業の原材料となる茶畑の確保や栽培業者の育成、営業に力をいれています、
固定費を変動費化するものです。例えば「あべのハルカス」の入退場システムは秀逸なコスト設計をしています。あべのハルカスの入退場システムはパナソニックインフォメーションシステムズが管理しています。あべのハルカスは入場者数に応じて保守費用を払う契約になっています。入場者数が減っても、システムのコスト費用も抑えることができるのでリスク低減につながっています。
やらないことを決めるは文字通りですね。オーストラリアワインのイエローテイルはコルクを止めてスクリューキャップに変更して低コストを実現しました。日本だとメルシャンの「おいしい酸化防止剤無添加ワイン」がパッケージを瓶からペットボトルにして低コストを実現しています。もちろん、両商品ともコスト削減以外にも工夫をしたのでヒット商品になったわけですが。コスト構造まで描ききってビジネスモデルが構想できたことになります。