クマ坊の日記

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【戦略論】イノベーションのジレンマとは

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前回は現在の自分の仕事を交えて、イノベーション理論の源流についてザックリと語ってみました。イノベーションに関しては絶対に外せない書籍があります。それが「イノベーションのジレンマ」です。今日はこの理論をまたザックリと解説してみたいと思います。

 

 

 

イノベーションのジレンマ

イノベーションのジレンマとは、アメリカのハーバード大学教授のクレイトン・クリステンセン教授が唱えたイノベーション理論の一つです。凄くザックリと説明すると、「顧客に忠実であるが故に、新たなイノベーションを起こせない」というものです。

 

大企業になればなるほど、このジレンマに陥ります。顧客はよりその製品やサービスに高機能、高付加価値を求めます。iPhoneをみても発売された時は製品そのものが画期的ですが、その後はより見やすい大画面だったり、カメラの性能向上とかの改善されるようになります。

 

iPhoneユーザーの期待に応えてるために、またApple社からすれば業績をあげて株主の期待に応えるために改善を行います。iPhoneの製造にはたくさんの部品メーカーが絡みます。それらの企業も自社の取引拡大のために様々な改善提案をしていきます。つまり、成功したが故にその呪縛から逃れられないというジレンマに陥ります。

 

経営判断としては極め合理的です。顧客が購入してくれる製品にリソースを投資してキャッシュを獲得することは当たり前です。

 

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)

 

 

破壊的イノベーション

iPhoneの現在の改善に改善を重ねる手法は、持続的イノベーションと呼ばれています。日本企業もモノづくりのメーカーを中心に得意としていた手法です。

 

その一方で、スティーブ・ジョブズが率いたApple社がiPhoneを生み出した際の手法は破壊的イノベーションと呼ばれます。iPhoneをキッカケにに携帯電話の価値は根こそぎ破壊されました。あんなにガラケー使っていたのに💦

 

破壊的イノベーションがひとたび起こると、既存企業は壊滅的な損害を被ります。

 

分かっちゃいるけど辞められない

大企業は人材の質も量も豊富です。資金もあります。そのため、新規事業準備室などを社内に立ち上げることが多いです。しかし、多くは失敗します。既存顧客がいるから、既存事業でキャッシュを稼いでいるから、株主からのプレッシャーがあるから。頭では既存事業が衰退するのは分かっているけど、自ら変革できません。既存事業という重力に引かれるようです。

 

ジレンマの教科書的な対策は?

教科書的には、イノベーションは専門の小さな組織を立ち上げ、小さく実験して戦略を実践することだと言われています。ただ実際はそんな上手くはいきません。小さく実験しても、事業が軌道にのるまでには社内外のプレッシャーに晒されるからです。既存事業に携わる社員からすれば、「俺たちが稼いできた金で、儲からない事業しやがって!」株主からすれば、「いつ資金は回収できるんた?無駄な金使うぐらいなら配当増やせ!」ですから。

 

成功するまで諦めない

クマ坊が参考にしたいのは、東レ炭素繊維事業です。炭素繊維は飛行機の機体を作る材料として使われています、軽くて丈夫が特徴です。今や東レのドル箱製品です。この商品が誕生してから現在の状況をつくり出すまでに50年以上の年月を費やしました。商業化されたのは30年前。最初はゴルフクラブや釣り竿としてスタートしました。当時、炭素繊維の研究をしていたのは東レ以外にもありました。でも、採算が合わず撤退していきました。東レが成功したのも2006年にボーイング社に納品するようになったからです。つまり、勝つまで諦めない懐の深い企業文化が今の成功に繋がりました。技術に対する目利き力と、粘り強い企業風土、資金的な余力等の条件が重なったんでしょうが、諦めなかった社員と経営者がいたことが勝因のように見えます。