以前、人の成長は現場での経験が7割。上司や先輩からの薫陶が2割。研修等での学びが1割とお伝えしました。今回は2割に相当する薫陶に焦点を当ててみたいと思います。
目次
薫陶を受けるとは
辞書で調べると、
徳や品格のある人から影響を受け、人格が磨きあげられること。感覚されること。とあります。「何を言うかよりも、誰が言うかが重要」ということです。
薫陶の語源は、陶器づくりです。陶器は土を捏ねて形を整えて焼き上げます。陶器を焼く際に、お香を焚いて香を陶器に練り込むことがあるそうです。じっきり時間と手間をかけて美しい陶器が焼きあがる様と、人が成長する姿は重なるところがありますね。
薫陶でよく使われる経験談
上司や先輩が薫陶らしきものを語る時に、経験談をよく聞かされませんでしたか?「俺が若い頃はなー」って奴です。しかし、役に立った経験談って少なくありませんか?経験談って上司や先輩が考えているほど、部下や後輩の育成に役に立ってないことが多いです。
何故、経験談は伝わらないのか?
伝わらない理由は3つあります。
- 細かな情報が欠落している
- 経験談が美化される
- 例え話が分かりづらい
細かな情報が欠落している
年が離れていると、経験談を話されても細かな状況や情報が端折られているため、そもそもの経験談の全体像が掴めないことがあります。経験談を語っている人と経験談を聞く人が、同じ状況をイメージできれば経験談も役に立ちますがそうでないと「上司は若い頃、大変だっただな」の印象しか持てません。
経験談が美化される
人間は都合のいいことしか記憶に残りません。すると聞いている側からすると、自慢話を聞かされている気分になります。経験談だけを話すだけでなく、経験談から導き出された抽象化された教訓がないと聴くがわには魅力的な経験談になりません。
例え話がわかりづらい
経験談から教訓を抽出して、分かりやすい例え話をにしようと試みる人もいます。しかし、肝心の例え話が世代間ギャップで伝わらないことがあります。例えば、人材育成の格言で海軍大将であた山本五十六の「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、褒めてやらねば、人は動かじ」という言葉があります。50歳以上の人材育成の仕事に係わる人であれば誰もが知る有名な言葉です。でも、若い子にこんな話をしても分かりません。「山本五十六って誰?」「海軍大将って?」。上司は教訓を分かりやすく教えたつもりでも全く部下には届かないなんてこともあります。
私も漫画でビジネスに役に立ちそうなセリフを使ったら、おもいっきり滑ったことがあります。30代、40代には馴染みがある「スラムダンク」も20代には通じません。💦
経験談はストーリーで伝える
経験談が最も分かりやすく伝えているものが身近にあります。「昔話」や「童話」です。これらは印刷がない時代から口伝で伝承されてきました。記憶に残るし、後世に伝えたいと思える内容だったから何世代にも渡って伝えられてきました。
印象に残る経験談とは?
- そもそも語り手(上司)と部下に信頼関係がある
- 当時の状況設定を簡潔に伝える
- ワクワクするよなドラマがある
- 本筋から関係ないことは話さない
- 話はシンプルかつロジカルに
- 聞き手が共感するオチがある