今年の秋口は殺人的な忙しさでした。忙しかった理由の一つが、HRカンファレンスという大規模イベントでの講演があったためです。調査報告の発表だったので、その分析に膨大な時間を取られたのと、発表資料の作成で土日はほぼ仕事に追われていました。無事、講演も終わり現在はほっとしています。今日は本講演でお伝えした内容をポイント絞って、裏話とあわせてお伝えします。
調査したこと
今回、私たちが調査したのは「成果を上げている管理者」と「成果を上げていない管理者」のマネジメント行動の違いについてでした。現代は管理者受難の時代です。職場の人員はどんどん減っていく。ホワイトな職場になったのはいいが、自分の言動がハラスメントに該当しないかビクビクしながら言葉を発しなければならない。部下の残業が減った分、管理者がカバーするために残業。マネジメントだけではなく、自らもプレイヤーとして成果も上げなくてはならない。これだけ働いても給料はそれほど上がらず。罰ゲーム化する管理職という本が今年は人事界隈ではバズワードになりましたが、まさに管理者で成果を出すのは至難の業です。
しかし、世の中には成果を上げている管理者も沢山います。大変なのは同じですが、「罰ゲーム」なんて事は感じていなくて、むしろマネジメントの仕事にやり甲斐やクリエイティブティを感じています。
「成果を上げている管理者」と「成果を上げていない管理者」でマネジメント行動にどのような違いがあるのだろうか?という素朴な疑問から本調査を実施しました。
極めて合理的な理由
メンバーとマネジャーの違いは、「他者を通して成果を上げる」ことです。この「他者を通して」というのが、古今東西マネジメントを難しくしている要因です。スポーツの世界で、名選手必ずしも名監督にあらずは言われることですが、自分でやるのと、他者にやらすとでは、その難易度は飛躍的に跳ね上がるということです。
今回の調査で明らかになったのは、成果を上げている管理者は、「他者を通して成果をあげる」事を強烈に意識し、そのためのマネジメント行動を実践していると言うことです。
他者を通して成果を上げるには、大きく二つの方向性が考えられます。一つは、メンバーを道具的に捉え、手取り足取りマネジメントするやり方です。もう一つは、メンバーを一人のヒトとして尊重し、メンバーが自律的に動けるようマネジメントをするやり方です。仕事内容やメンバーの成熟度も影響するので、どちらが正解ということはありません。
ただ、今回の調査では後者の思想で回答している方が多かったようです。私も後者のマネジメントの方が好きですね。
メンバーが自律的に活動して成果を上げる為のマネジメント
最終ゴールは職場で成果を上げることです。いくら優秀なマネジャーでも一人で仕事を完結することは不可能です。他者の力を活用することが成果に直結します。しかも、出来るだけ自律的にメンバーに動いてもらった方が良いです。多くのマネジャーがプレイングマネジャーです。メンバーの一挙手一投足を管理する時間すらありません。
ただメンバーに自律的に動いてかつ成果をあげてもらうには工夫も必要です。
- 方針翻訳
- 役割指示
- 権限委譲
- 会議デザイン
- リフレクションとフィードバック
1から5を機能させるための対話。
権限委譲して自律的に活動してもらうには、方針を定めなくてはいけません。自職場では〇〇の成果を上げるために、✖️✖️な活動を行うという共通理解です。その上で個別に対する役割指示。自律的と言っても、進捗を確認するための会議のデザイン。メンバーへの個別のフィードバックを通じてのリフレクション。これらを円滑に行うためには、メンバーとの対話が必要になります。こんなマネジメントを成果を上げている管理者は実施しているようです。