沈黙が続く会議ほど気まずいものはありません。いくら心理的安全性を確保しても、しっかり質問を準備していても意見を言わない人はいるものです。そんな時の対処の仕方について考えてみたいと思います。
押してだめなら引いてみる
なかなか発言してくれない人から意見を引き出すためには、緩急を意識した働きかけが大原則になります。押してみるとは、指名する、突っ込む、クローズドな質問をする、提案する、説明するなどの強制的な介入です。引いてみるとは、待つ、聴く、委ねる、沈黙する、オープンな質問をするなどを指します。両方を場に応じて使うことになります。簡単な技から説明していきます。
沈黙を恐れない
会議のファシリテーターでも、研修の講師でも、1人前に立っている時にリアクションがないと不安を感じます。沈黙に耐えられず自ら話出してしまったり、慌てて質問を言い換えたりしてしまいます。そして、ますます参加者は口を継ぐんでしまう。。。このような時に効果的なのは、「発言を待つ」ことです。意見が出なくても、慌てる必要はありません。そもそも、人前で意見を言うのは恥ずかしかったり、自分の意見を纏めるのに時間がかかったりするものです。沈黙を恐れず気長に待つことです。「意見が出るまで待ちますので、ゆっくり考えてくださいね」と伝えて、後は待ちましょう。
腹を割って話す
意見を出して欲しかったら、まずは自分自身の本音を曝け出すことも効果的です。「意見が出なくて寂しいです」と素直に伝えることです。本音を曝け出す事で、相手もその思いに応えようとリアクションしてくれます。返報性の原理です。そして、一度リアクションするとその人の心理的ハードルは下がります。自分の意思で発言したことなので、その後も同じような行動をするようになります。一貫性の原理が働くからです。
最初からみんなで話さない
いきなりみんなの前で話すのはハードルか高いです。1人で考えさせる時間を取る→考えたことを2人1組で話し合う。その後に全体て話し合うなど進め方を変えるだけでも、たいふ意見の出方は異なります。
最初からハードルあげておく
本音を引き出す時には、心理的なハードルを最初からあげておくこともあります。「今日は本音で話してください。綺麗に纏めた意見は求めません。本音じゃないように感じたら、突っ込みますから」とか、「ユニークな視点での意見を期待しています」とか、「皆さんの部下は1人10個はアイデアが出ていたので、上司である皆さんはそれ以上狙いましょう」など、やる気を最初から煽るのもテクニックです。まあ、陽気に言えないとシラケてしまいますが。
便利な言葉「あえて」
発言しても「特にありません」「同じ意見です」と言う場合があります。前後の発言の文脈から、そのように答えいるのであれば問題ありませんが、時には自分の本音を出したくないからそのように答えている場合もあります。そんな時に便利なのが「あえて」です。「あえて挙げるとしたら、Aさんと違う点はどこですか?」ここぞ言う時に使うと効果的なフレーズです。
小さな質問から答えさせる
答えやすいクローズドな質問から答えさせるというテクニックもあります。「直感でいいから、A案とB案だったらどっち選ぶ?」→「B案選んだ理由をもう少し具体的に考えと何がある?」と言うように最初は答えやすい質問をしながら、徐々に抽象度の高い質問をしていく技もあります。交渉のテクニックでfoot in the door と呼ばれるものです。逆に最初に無茶振りな答えられない質問してから、最後に本当に質問したいことを用意するテクニックもあります。交渉では、door in the faceと呼ばれます。犯人やテロリストと交渉の場面がある映画とか見てると、このような手法を使っているのが分かります。