私が応援している横浜F・マリノスがリーグ戦で首位に躍り出ました。あと2試合勝利すれば、横浜にシャーレがやってきます。横浜F・マリノスは従来のチームとは異なる特徴を持っています。その一つがシーズン中に主力選手が入れ替わったことです。主力であった天野純と三好の二人は夏に海外へ移籍しました。チームの得点王であったエジカル・ジュニオも怪我で長期離脱。長年チームを支えたGKの飯倉も移籍しました。通常、これだけ主軸が抜ければチーム力は落ちます。夏に新戦力を4名補強しましたが、すぐに馴染むとは思えませんでした。通常、フットボールでも野球でもラグビーでも、強いチームというのは長きにわたってメンバー間でチームワークを高めるものです。前置きが長くなりました。今日は「チームで成果を出すのが、なぜ難しいのか?」について考えてみたいと思います。
スポーツで成果を出す
フットボールなどの集団スポーツや、オーケストラ等の多くのメンバーが協力することで際立った達成することができます。この協力の仕方を連接的協働と呼びます。連接的協働を促すには、コンセプトや戦術、そしてそれらを実現するためのトレーニングが重要になります。横浜F・マリノスでいえばアタッキングフットボールというコンセプトがあり、コンセプトを支える細かい戦術ルール、そしてその戦術ルールを実行できるような日々のトレーニングにあたります。これらを現場で指揮するアンジェ・ポステゴクルー監督のリーダーシップ、そして現場と一枚岩で動いたフロントスタッフがいたからこそ空中分解することなくチームは優勝争いを続けています。
ビジネスでチームとして成果を出す
ビジネス協働のあり方は、スポーツとはまたことなります。ビジネスでの協働のあり方を離接的協働と呼びます。こちらの協働の特徴は、メンバーの誰かが達成すれば、それが集団の成果になることです。例えば、社員の一人が素晴らしい商品開発のアイデアを思いつければ、その企業が成功するということです。もちろん物事はそんな単純ではなく、複雑なプロセスを経なければ成果にはつながりません。アイデアを思いついた社員は他のメンバーにアイデアを伝えて、そのアイデアを納得させ、会社全体のアイデアとしてアウトプットしなくてはいけません。メンバーと書きましたが、多くのステークホルダー(上司・部下・同僚・他部門・関係会社・顧客・株主)に対して、「誰かのアイデア」を「私たちのアイデア」として打ち出さことができなければ、成果はあがりません。全てが全て合意できるわけもなく、多くは妥協の産物であり、関係者全員が協働して成果を出すことは稀なのが実際です
組織での成果を出すことを阻害する要因
組織の力を引き出すのに阻害する要因はいくつかあります。
- 集団圧力
- 集団浅慮
- 社会的手抜き
集団圧力という言葉は聞いたことがあると思います。個人に対して、集団の規範や意見に同調するという圧力がかかる現象です。「前例がない」「社内の方針に反する」「社長がいったから」等々、集団圧力がかかると、自分の意見はなかなか言えなくなります。
集団浅慮は、1人1人は優秀であっても、その人たちが集まって集団で決定することによって愚かな判断を下してしまうことです。これは結束力が高くて有能な集団であればあるほど起こりがちです。どこかの国に中央官庁なんかはその典型ですね。メンバーが自信過剰になって、異質な意見が排除されやすくなり、深く考えないで意思決定してしまいます。
社会的手抜きは文字の通りです。個人が少しづつ本来できるはずの努力を怠るということです。これは人数が多くなれば多くなるほど、その傾向は強くなります。「私ひとりぐらい、少し手を抜いてもという意識や、部門間の調整で妥協して結果として組織としてのパフォーマンスが落ちるという現象です。
学生時代も社会で働くようになってからも、他者と協働して成果をだすことの難しさを我々は知っているから、チームスポーツに感動と興奮を覚えるようにも思います。