管理職にしか出来ない仕事として、意思決定があります。意思決定が出来る上司はメンバーからすれば頼り甲斐があります。逆に、先送りや、意思決定をメンバーに丸投げするような上司の下では仕事したくありません。今日は管理職の意思決定について考えてみます。
まず謙虚さ
正確で早い意思決定が出来る管理職の特徴の一つに謙虚さがあります。現場の細々としたオペレーションや状況を理解するのは中々大変です。一朝一夕に把握出来るものでもありません。やはり、自分より長く業務に携わっていて、経験も専門知識もあるメンバーから謙虚に学ぶことが大前提です。メンバーから学ぶプロセスで判断基準が徐々に出来上がっていきます。
鵜呑みにしない
ただ闇雲に謙虚に学ぶだけでも上手くいきません。メンバーの話を聴きながらも、鵜呑みにはしない姿勢も合わせて持たなければいけません。メンバーから聴いたことが本当だとは限らないからです。何故なら、それぞれのポジショントークが入ってくるからです。例えば、過去のやり方を引き合いに出して、新しいやり方を否定するケースで考えてみましょう。古い仕事の手順を新しく変更する際は、必ず混乱が生じます。混乱が発生しているのは事実ですが、過去の手順が良いわけではありません。新しい手順に異議を唱えるメンバーからすれば、過去のやり方を踏襲したいという心理も働いているかもしれません。部門横断のプロジェクトなんかでも、互いに正論は言っているが、それぞれの立場からの見解に終始してしまっている場合もあります。管理職に迫られる意思決定はグレーな内容ばかりです。最良の意思決定するには、複数から異なる情報が上がってくるようにしなくてはいけません。メンバー1人ひとりに対する理解も必要です。その上で、判断する際に何を重要な観点にするかを、都度決めなければなりません。
常に考える
処理案件ごとに、判断軸を考えるというのは難しい作業です。論理的な思考は、判断軸を考える際の手助けにはなりますが万能ではありません。大事なのは、常に職場の問題について考えていることです。考えてみれば当たり前のごとです。問題意識のない管理職に意思決定を求めても、その時点から考え始めることになります。準備が出来ていないわけです。一方、意思決定が早い管理職は、日頃からアンテナ立てて問題を認識し、考えているので、意思決定も早いわけです。予測してるから、素早い意思決定が出来るわけです。
私はサッカーが大好きで良く観ます。サッカーは局面で瞬時に状況が変化します。優れたサッカー選手は状況判断力が素晴らしいです。私が応援する横浜F・マリノスには、中澤選手というレジェンドがかつて在籍していました。日本代表でも長く活躍された選手です。鉄壁な守備を誇った名選手でした。その中澤選手がインタビューで語っていたのは、常に準備することの重要さです。味方が攻めている時でも、常にあらゆるリスクを想定して試合中に頭の中でシミュレーションしているそうです。そしてポジショニングを微妙に調整していたそうです。数センチの身体の向きや立ち位置で、状況は一気に逆転するからです。言われれば納得な話ですが、これを試合中に継続して実践するのは難しいです。マネジメントの意思決定も同じで、言うは易しですが、毎日、毎週、毎年コンスタントに行うのは大変です。一つ一つ経験を積み重ねていく他ありません。