企業はSXやDXへの対応が求められています。そのため、社内で変革を起こせる人材やチームに対する関心が高まっています。裏を返せば、そのようなイノベーションを起こせる人材やチームの不足を経営者は感じているようです。でもイノベーションを起こせる人材はどの時代でも希少種です。今日はマーケティングの古典理論の一つでもあるイノベーター理論について考えてみたいと思います。
イノベーター理論
いつの時代もイノベーションは渇望されています。イノベーションによって人の営みや社会は発展してきました。1962年にアメリカのスタンフォード大学の社会学者エベレット・M・ロジャースがイノベーター理論を提唱します。これは、新たな商品・サービスの市場における普及率を示す理論です。消費者を新商品で採用する順番で5つに分類しています。
- イノベーター (革新者)
- アーリーアダプター(初期採用者)
- アーリーマジョリティ(前期追随者)
- レイトマジョリティ(後期追随者)
- ラガード (遅滞者)
イノベーターの割合は市場全体の2.5%?
最も早く新商品・新サービスを導入する人たちです。情報感度が高く、新しい商品、サービスを積極的に採用する志向性を持っています。モノの目新しさ、新技術など「新しい」に価値を見出します。一方、価格とか製品・サービスの細かいメリットには拘りはありません。「これはいい!」と思ったら購入して、使ってくれる人々です。平たく言えばオタクですね。どの分野においてもオタクやマニアと呼ばれる人が新しい価値を生み出したり、発見してくれます。ただ、このような人材は市場全体でいうと2.5%に過ぎないとロジャース先生は主張します。最もこの数字は明確な根拠がある数字ではありません💦 ロジャース先生が肌感でだいたいこのぐらいかなと示した数字のようです💦 ただ、確かに自分の身の回りを振り返っても、オタクの人は少ない印象です。企業はイノベーション人材を求めていますが、そもそめ希少種である事は間違いなさそうです。
アーリーアダプター
こちらは今の言葉に置き換えるのであれば、インフルエンサーと呼ばれる人々です。ロジャース先生によると、市場全体の13.5%を占めるそうです。常に世間や業界にアンテナを張り、情報を収集、価値を判断して、情報発信します。イノベーターとの違いは、ただ新しいだけでは飛びつきません。新商品・サービスの価格や使い勝手などの価値を十分吟味した上で購入を判断します。また、周囲の人々にも、新商品・サービスを推薦してくれます。SNSの誕生により、その影響力、破壊力は凄まじいものがあります。だから、新商品・サービスの普及には、このインフルエンサーにいかに受け入れられるかが重要と考えられています。
アーリーマジョリティ
ロジャース先生によると、市場全体の34%を占めるそうです。アーリーアダプターまでの割合は細かく刻んできましたが、ここからの数字はかなりザックリになります。ロジャース先生も飽きてきたのでしょうか💦 この層は、流行には遅れたくないけど、購入には慎重を期します。私は完全にこの層です。
レイトマジョリティ
ロジャース先生によると、市場全体に占める割合は34%と主張します。ロジャース先生!さて、この層は、新商品・サービスの導入には懐疑的です。スマホが普及しても、なかなかガラゲーから変更しなかった人たちです。この層が購入するには、家族や友人など周囲の圧力が必要です。つまり、周囲への普及率が鍵となります。
ラガード
最も保守的な層です。新商品・サービスが定番化されるまで購入しないか、絶対に購入しない人々です。定番化している時点で、もう新商品・サービスではありませんが。
ロジャース先生は、イノベーターとアーリーアダプター合わせて16%をいかに獲得するかが、新商品・サービスの普及には極めて重要であると主張しました。もっともこの後、このイノベーター理論を土台として新たなキャズム理論が誕生します。キャズム理論については、また別の機会で解説します。
今日は、イノベーター理論について解説してきました。一つ間違いなく言えるのは、イノベーションを起こせる人材というのは、今も昔も希少であるという点です。