私の生業は企業の人材育成支援です。分かりやすい所で言えば、企業で実施する新入社員研修や管理職などの研修。複雑なものだと、人事制度の構築や業務改善等のコンサルティングがあります。単独で担当することもありますが、複数の講師・コンサルタントが動く際はプロジェクト仕事になります。今日は炎上するプロジェクト、上手くいくプロジェクトの違いについて考えてみたいと思います。
品質の定義が難しい
私が携わるサービスは無形です。教育やコンサルティングですから。そのためお客様の立場からすると、品質が分かりずらいという特徴があります。これが最新のテスラModel3と10年落ちの中古の軽自動車であれば、誰がみてもテスラの方が品質が良いと考えますよね。逆に講師・コンサルタントの立場からすれば、お客様の期待水準が分からないという側面もあります💦また、依頼側の関係者が複数いるのも厄介です。研修であれば発注者である企業の人事担当者。受講者。コンサルティングであれば発注者やその上司である担当役員や経営者。コンサルティングの対象となる部門関係者。
期待値を形成する
このようにお客様の期待値が定まらないのが無形サービスのプロジェクトの特徴です。同じ言葉を使っていても、全く違う絵をイメージしていることがあるわけです。つまり、いつ炎上してもおかしくないと言えます。ではプロジェクトで炎上しない為には必要な事は何でしょうか?一言で申し上げれば「期待値のコントロール」です。でも、これがなかなか難しい。前述したように、研修であれば発注者と受講者がいると言う点です。その為、発注者が受講者「に」学んで欲しい内容と、受講者「が」学びたいことにGAPが生まれます。また、リソースの問題もあります。どれだけの時間と費用をかけられるのかでアウトプットも変わります。2時間の講演会と半年間のワークショップでは当然アウトプットも異なります。つまり、お客様の要望とリソースを考慮しながら、期待値を形成していきます。これは言うは易しで行うは難しです。専門家でキャリアがあればいいわけではありません。専門家にも落とし穴があります。事象を安易にパターン化したり、自分の得意な領域に引き寄せ過ぎて解釈したりすることがあります。講師・コンサルタント「が」教えたい内容で研修を設計したりする事があります。それを防ぐには、打ち合わせの初期は1人以上でヒアリングするのが効果的です。
言いにくいことも話す
苦労して期待値を握りあったとしても、状況の変化にらより前提条件が変わることもあります。「予定よりも早くアウトプットを出して欲しい」「追加でこんな内容も加えて欲しい」など。発注者から要望を伝えられれば、出来る限り対応しますが、時にはリソースとのバランスから対応が難しい場合もあります。そんな時に、いかに期待値のズレが小さいうちに、発注者であるお客様に「言いにくい事を話し、要望を聞く」を繰り返す他ありません。でも、意外にこの作業を行う人は少ないです。面倒ですし、コンフリクトを起こしたくないからです。人の生命に関わることでもないですしね。
他の仕事も同じ
今回は私の仕事に沿ってプロジェクトの進め方について考えてきました。皆さんの普段の仕事も同じことが言えます。上司からの指示が抽象的で曖昧な時もあると思います。そんな時に、この仕事の本当のお客様は誰か?納期はいつか?使えるリソースは何があるかを意識することが、仕事を進める上で大切になります。