クマ坊の日記

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【マネジメント】科学的管理法の誕生

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マネジメント理論はありますが、実はあまり研究が進んでいない分野でもあります。その理由の一つがマネジメントの範囲の広さと個別性にあります。業種や職種や会社や個人で、マネジメントでやっている内容がだいぶ違っていたりします。そのため、カチッとした定義が難しいのが実際です。曖昧模糊とし過ぎていて、研究テーマとして難しいのでしょう。今回から数回に渡ってマネジメントの歴史について考えてみたいと思います。

古代から存在するマネジメント

マネジメントは人類の歴史でもあります。文明が誕生し、人が組織を持つようになってから、その組織をいかに効率よく、生産性高く運営するのは永遠の課題でもありました。だから、歴史を通して我々は多くの組織運営について学ぶことができます。科学や文明が発達しても、人間の本質は変わらないのだなとも思います。

フレデリック・テイラーの登場

古代から組織運営については研究されてきましたが、マネジメントという考え方が誕生したのは1900年代に入ってからです。フレデリック・テイラーが提唱した「科学的管理法」が最初となります。科学的管理法は仕事の動作を要素分けし、無駄を排除した上で、標準作業や標準時間を確立し、その「標準」によって管理統制を図るものです。有名なのはべレム・スチール社におけるショベル作業の研究です。

ショベル作業の研究

その職場では、毎日400〜600人の労働者がショベルを使って鉱石をすくっては運ぶ仕事をしていました。日によってすくうものの大きさも形も様々な鉱石なのに、労働者は好きな形、大きさのショベルを選んで仕事をしていました。そんな作業のやり方だから、作業量は労働者によってバラバラでした。そこでテイラーはストップウォッチ片手に作業を分析し始めました。ショベル一杯ですくう最適な分量はどれぐらいなのか?使うショベルの形状は?鉱石をすくう最適な動作は?作業に必要な時間は?労働者の賃金体系もある作業量を超えたら賃金があがる設計に変更しました。きっちりかっちり分析して作業に落とし込みました。ただ、600人を管理しようとしたら現場監督だけでは対応できません。そのため作業計画を立てる専門部署も立ち上げました。結果さ作業量は3.7倍に!コストも新設の部署のコストを含めても従来の半分に!当時の経営者はこぞってテイラーの「科学的管理法」を導入します。

テイラーの意思に反した経営者の暴走

テイラー自体は、作業を標準化することで経営も生産性があがり、それによって労働者の労働条件の改善、賃金も向上する世界を理想としていました。しかし、資本主義の黎明期。経営者も私利私欲を優先していた時代です。テイラーの科学的管理法をひたすら労働生産性向上の道具だけに使い、労働者を酷使しました。当然、労働者も反発し、「科学的管理法」の導入に反対するようになります。そんな経緯もあったので、「科学的管理法」は合理性を追求するあまり、人間性が軽視されているという批判も受けるようになります。

ちなみに、この科学的管理法を土台にして、大量生産の仕組みを発展させたのが、ヘンリーフォードになります。冒頭の写真はT型フォードの生産現場です。