クマ坊の日記

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【ビジネススキル】シナリオプランニングの進め方

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コロナ禍の初期において、スムーズにリモートワークに移行できた企業がいくつかあります。そんな企業担当者と話をしていると、日頃からシナリオプランニングをしっかりやっていることを感じます。コロナでリモートワークにすぐに切り替えられた企業はコロナを予測していたわけではありません。東京オリンピック開催に伴う通勤障害をリスクとして捉えていたので、コロナでもすぐに切り替えられたようです。今日はシナリオプランニングについて考えます。

シナリオプランニングとは

一言で申し上げれば、「将来起こりうる複数のシナリオを描いた上で、複数の戦略を考えること」です。シナリオプランニングの学問は結構、歴史があり様々な理論があります。ビジネス界でシナリオプランニングが有名になったのは、冒頭に掲載した写真オイルショックの時と言われています。1960年代後半から1970年代にかけて、ロイヤルダッチシェル社が事業環境分析を行なった時にシナリオプランニングを実施しました。その後に起こる中東戦争に起因する第一次石油ショックを予見し、危機勃発後の初動で競合他社を出し抜いたことで脚光を浴びました。

 

シナリオプランニングの進め方

  1. ベースシナリオの作成
  2. 変動要因の洗い出し
  3. 別シナリオの作成
  4. 別シナリオの収益性のシミレーション
  5. 戦略の検討並びに意思決定

まずは、現段階で最も確からしい将来像を描きます。従来の延長線上と言い換えても良いです。現在のビジネスモデルが引き続き通用するモデルです。もちろん、市場の動向やビジネスモデルの収益性もしっかりと試算します。すでに明らかになっている法規制の改正も見落としてはいけません。次に行うのが、変動要因の洗い出しになります。一般的にはPESTELのフレームワークなどを使って分析を行います。PESTELとは、Political Economy Sociological Technological Environmental Legalの頭文字になります。ここは様々な分野に詳しいメンバーを集めることが肝になります。また、変動要因を洗い出すだけではなく、こんな変動が起きたらこんな要因が起こるかもしれないといった仮説も検討することも重要です。質よりも変動要因と仮説の正確性よりも数にこだわりましょう。

次にベースシナリオ以外のシナリオを検討します。変動要因のうち、不確実性が高くてインパクトが大きい領域を中心に3〜5の別シナリオを作成します。ここで難しいのは、不確実性もインパクトも両方高い領域は想定が難しいという点です。誰もコロナやウクライナでの戦争を予測はできませんでした。洗い出しはしつつ、保留にしておくのが実際の作業になります。また、別シナリオ作成の際のコツは同時に発生しそうな変動要因はまとめてグルーピングしておくことです。そうしておくことで、別シナリオのストーリーがより立体的にイメージしやすくなります。

別シナリオができたら、個々のシナリオごとの収益性のシミュレーションを行います。最も収益が上振れするのが楽観シナリオ。逆に最も下振れするのが悲観シナリオになります。ここではシミュレーションの精緻さは求めない姿勢も大事です。そもそも、不確実性が高いので精緻さは期待できません。大切なのは、意思決定に向けた見立てを立てることです。そして、最後は意思決定です。シナリオを沢山描いても、選択して準備を進めない限り、リスクを逓減することはできません。