昨日は価格設定の考え方について考えてみました。初めからお手頃価格でいくのか、はたまた強気の高価格設定でいくのか。また、あたり前ですが主な収益項目も決めておかなければいけません。今日は収益の獲得方法について考えてみます。
代表的な収益モデルを知る
新たなビジネスが次々と生まれてきますが、マネタイズの仕組みは昔から、そんなに変わっているわけではありません。今回は代表的な5パターンを紹介します。
- 継続して儲ける
- 囲い込んで儲ける
- 利ざやで儲ける
- メリハリで儲ける
- 他の収益源で儲ける
継続して儲ける
これは最近では、サブスクリプションと呼ばれますね。定額制の課金モデルです。私もDAZNやSpotifyで使っています。この継続して収益をあげるモデルは古くて、髭剃りの替え刃モデルでも有名です。他にはレベニューシェアというモデルがあります。成果に応じて支払額を決めるやり方です。アベノハルカスでパナソニックインフォメーションシステムズが入退場システムを納入した時にこのモデルを適用しました。アベノハルカス側としては、システム導入の初期費用を抑えられます。仮に入場者数が増えても売り上げも増えるので、増加分の支払いも心配がいりません。入場者数に応じた支払いが変動費になる、システムの老朽化も回避できるなどのメリットがあります。一方、メーカー側も継続した収益を確保できることができます。ただ、入場者が減ってしまうと収益も落ちるので、メーカー側から入場者を増やすためのマーケティング提案をするそうです。
囲い込みで儲ける
Amazonは継続でもあり囲い込みでも収益を上げています。新しいビジネスモデルを設計する場合は、そもそも新規顧客を獲得する必要があります。ユーザーとしても、初めてのサービスは使うのを尻込みしてしまいますから。そこで顧客を囲い込むためには、最初の一定期間を無料や低価格で提供します。この前、NHKの72時間ドキュメントでヒゲ脱毛のエステを撮影して見入ってしまいました。エステも最初は無料体験等で囲い込みしていますよね。この囲い込みで難しいのは、顧客を囲い込むために先行投資が必要な点です。資金回収の出口を考えておかなければなりませんし、そもそも先行投資できる財務的な基盤も求められます。また、この囲い込みモデルは模倣されやすい弱みもあります。競合他社よりも早く囲い込むことも求められます。
利ざやで稼ぐ
商売における最も古典的な原則です。価格とコストの差をいかにつけるかです。求められるのは可能な限りコストを抑えながら、価値を上げるという事です。このやり方が巧みなのは、例えばキーエンスです。キーエンスはFAセンサーなど検出、計測制御を製造販売している会社です。この会社は粗利益率が80%以上でなければ製品を開発しません。通常は有料企業であっても粗利益率50%程度なので、その凄さが分かると思うます。キーエンスは製品ではなく、ソリューションを提供しています。お客様も気づかないような問題をセンサーを使って解決します。ソリューションの価値も含めて粗利益率80%ということです。
メリハリで稼ぐ
利益を稼ぐ商品・サービスとそうでないサービスのメリハリで収益を稼ぐパターンです。このパターンで有名なのは、我が家もよく利用するコストコです。若い人は知らないかもしれませんが、コストコと同時期にカルフールやウォルマート(西友)も日本に進出してきましたが、成功したのはコストコでした。コストコが競争で優位に立てたのは、収益の確保の仕方にもあったと私は考えます。ご存知のようにコストコで買い物するためには会員になる必要があります。コストコは商品は安く売る販売する一方で、会員費用で利益を稼ぐ構造になっています。どこで稼ぐかをよく練り込んでいたことが伺えます。
他の収益源で儲ける
これはコストコのメリハリで儲けると近しい考え方です。脱毛サロンのミュゼ・プラチナムと言う企業をご存知でしょうか?都内で電車に乗っていると広告をよく見ます。脱毛を有り得ない値段で提供しています。安かろう悪かろうと思いがちですが、質の高い施術で顧客からの評価を獲得しています。店舗も複数構えていますし、脱毛には設備も必要です。値段安過ぎて赤字になりそうですが、儲かっています。儲けの源泉は顧客の膨大なデータです。これらのデータをヘルスケアや化粧品会社に転売しています。モニターの調査結果はこれら企業にとっては宝の山というわけです。
収益のパターンはそれぞれですが、一つ共通点があります。みんながハッピーなwin-winな関係をつくらなければ、収益は確保できないということです。