今日は本のご紹介です。ご紹介するのは、「多様性の科学」です。ビジネス本はつまらないものが多いのですが、これはビジネスパーソンでなくても楽しめるように思います。本の内容は下記のようになります。
- 画一的集団の「死角」
- クローン対反逆者
- 不均衡なコミュニケーション
- イノベーション
- エコチェンバー現象
- 平均値の落とし穴
- 大局を見る
著者はイギリスのタイムズ紙のコラムニストであるマシュー・サイドさん。凄く多才な人でオックスフォードを首席で卒業、卒業後は卓球選手として、二度のオリンピック出場と四度のイギリスチャンピオン。BBCやCNNのコメンテーターも務めます。
興味深い内容で溢れていますが、一章で扱っているアメリカ同時多発テロにおけるCIAの対応です。CIAは優秀な人材が集まっていたのに、なぜテロの兆候を見逃したのか?著者はその理由として、組織の多様性をあげています。CIAの職員は白人男性を中心に構成されています。そのため、様々なテロの兆候は把握していたのですが、自分達の物差しでしか情報を認識出来なかったと指摘します。例えばビンラディンが洞窟からアメリカへのテロメッセージを映像で流していました。当時のCIAの職員からすると、洞窟から戦線布告するようなテロリストが、アメリカ本土に攻撃するとは想像できませんでした。しかし、イスラム教の文化を理解していれば、洞窟からのメッセージがどれほど影響力を与えるものか理解できたはずだと指摘します。つまり、組織の同質性が盲点を生み出したと結論づけています。この一章だけでも、多くの気づきを得られると思います。お勧めの一冊です。