前回の記事で交渉が上手な人は、自分の土俵で戦うのが上手い人だと書きました。例え不利な条件であったとしても、交渉の場をコントロールして自分の立場を有利に持っていきます。私はサッカーが大好きです。選手の中には体が大きくなくても、卓越したボールスキルがなくても大活躍する選手がいます。そんな選手の特徴はポジションがいい事です。自分がいつ何処に動くべきか、あるいは動かない方がいいのかを瞬時に判断して実行できます。話が脱線しました。それでは、交渉に長けている人がどのような技を使っているか見ていきましょう。
希少性を利用する
まず大前提として自分や自分の提案の希少性を高めなければなりません。「ここでしか買えない!」とか明らかに価値が分かるものであればいいですが、形のないサービスだとそれも難しかったりします。私の生業は企業の人材育成支援ですが形のないサービスです。そのため希少性をアピールするにはまず実績になります。またキーマンに会って30分も話をすれば相手は希少性を感じてくれます。話の内容やコメントでそのように感じて頂けるのでしょう。個人的に振り返ると、誰も手をつけて来ないような仕事を多く手掛けてきたのが、私のコンサルタントとしての希少性に繋がっています。
話が脱線しました。もうちょっと身近な希少性の例について考えてみます。例えばあなたがビジネスパーソンで上司に提案するとします。その際に「まだ誰にも話していない素晴らしいアイデア」なんですと言えば、上司は希少性を感じて話を聞く時間をとってくれるかもしれません。これが「すでに関係者には説明したがあまり賛同を得られませんでした。でも、自信があるので提案させてください」と言っても厳しいですよね。また大切なのは交渉相手が希少性を感じるか否かです。その為には、相手を知らなければいけません。だから交渉前に相手を理解する為の準備は欠かせませんし、相手から情報を入手するための質問のスキルも重要になります。交渉が始まる前から、希少性を利用する戦いは始まっているものです。
制限時間のプレッシャーを利用する
これは腕の立つ営業職は誰もが実践しています。優秀な営業職は、相手に意思決定の期限を設けます。期限を設定する事で相手にプレッシャーをかけ、自分の立場を有利にします。Amazonだって楽天だって特別なセールには期限を設定してますよね。
最終権限を持つ存在を利用する
一見矛盾しているように見えるかもしれませんが、相手に自分には最終意思決定をする権限がないと思わせるのも効果的です。「これ以上値引きしたら上司から怒られます」「製造部にお願いしているのですが、変更を受け付けてくれません」最終意思決定者が目の前にいないのであれば、相手は交渉条件を見直す他ありません。目の前にいなければ、情に訴えることもできませんから。
次回はより具体的なHowToを解説したいと思います。