今日はマネジメント界隈でホットなキーワードの一つとなっている心理的安全性に関する基本的について解説していきます。
Googleで火が着いた
心理的安全性と言うキーワードがビジネス界で注目を集めるようになったのはGoogleがきっかけです。Googleは2012年に社内で、プロジェクト・アリストテレスを立ち上げます。効果的なチームはどのようなチームか?を徹底的に調査しました。なんと調査期間は4年間!その結果、「チームがどのように協力しているか」が最も重要であり、協力の仕方も様々あるが、離職率が最も低く、収益性が最も高いのは心理的安全性が高いことだと結論づけました。
エドモンドソン教授
この心理的安全性と言う言葉は、Googleが発表する20年前から提唱されていました。ハーバード大学のエイミー・C・エドモンドソン教授が「チームの心理的安全性」という概念を1999年には発表していました。「チームの心理的安全性とは、チームの中で対人関係におけるリスクをとっても大丈夫だ、というチームメンバーに共有される信念のこと」と定義しています。ちょっと定義が固いので、私は「チームが成果をあげるために、メンバー同士が何言っても許されると思われていること」と理解しています。
このブログの中でも、ビジネスに関する理論的背景や解説をしていますが、それ自体はあまり意味がありません。現実のビジネスや職場はもっと複雑で混沌としているからです。大切なのは偉い学者さんの話ではなく、いかに現場で使える知恵として、自論にしているかだと思います。話が脱線しました。正確な定義なんて知らなくていいと言うことです。
何で心理的安全性は確保できないのか?
端的に言えばチーム、職場や会社に対する信頼がないからです。主に下記の4つのリスクをおかしたくないと言う心理が影響していると考えられています。
- 無知だと思われたくない
- 無能だと思われたくない
- 邪魔だと思われたくない
- 否定的だと思われたくない
企業勤めのビジネスパーソンは4つのリスクに思い当たる節があるのではないでしょうか。周囲から「そんな事も知らないの?」とか、それを通り越して「使えない奴」と認知されたら職場でやっていけません。職場全体の事を考えて良かれと思って発言したら、何故、職場の空気読まないと村8分にされる😢 上司から生意気な部下だと目をつけられたくないなどありますよね。
心理的安全性はコンフリクトを伴う
心理的安全性はチームにとって重要ですが、当然万能ではありません。以前の記事にも書きましたが、心理的安全性が確保されている職場は一言で言えば面倒臭いです。何でも言えるわけですから、当然、意見が合う合わない、もっと言うとあの人とは合わないという対立があちこちに生まれるからです。職場の人間関係がギスギスしてしまいます。ただでさえ職場の人間関係で頭を悩ませているのに、更なる火だねは作りたくないのが、普通の人の心理です。
ラモス瑠偉はいつも要求していた
心理的安全性と言う言葉を聞いて、連想する人物はラモス瑠偉であり、Jリーグ創成期のヴェルディ川崎です。若い人には伝わらないですよね💦 当時のヴェルディ川崎はラモス瑠偉、カズ、柱谷哲司、北澤などを擁すスター軍団でした。そしてピッチや練習ではもの凄くお互いに要求しあっていました。「もっと動け!」「パス出せ!」「ここに走り込め!」勝利するために、優勝するために年齢や技術に関係なくお互い意見をぶつけ合っていたのは有名な話です。
私が愛する横浜F・マリノスは昨年優勝しましたが、昨年あたりから選手同士が練習やピッチで対話するようになったと言うのはサポーターの間では有名な話です。プロサッカー選手は個人事業主なのでビジネスパーソンと同列では語れませんが、より高い基準を本気で目指すチームには心理的安全性とコンフリクトは必要不可欠なものです。コンフリクトが起きても人間関係に影響がないのは、認知に関するコンフリクトだからです。認知のコンフリクトとは同じ事象を見た時に、異なる見解を持つという事です。お互いがより高い目標を共有できていれば、認知の対立は寧ろAでもBでもないCと言う新たな解を生み出す事に寄与します。サッカーに限らず、世の東西を問わず、優れたチームは心理的安全性が確保されていると事です。