クマ坊の日記

人材育成とビジネスとサッカーが中心のブログです

【book】アフターデジタル

アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る

 

今年、上半期で読んだ本で一番のインパク

残暑が厳しいですね。今日は久しぶりに本の紹介です。今年、上半期で読んだ中では一番、インパクトが大きかった1冊です。著者は株式会社ビービット 東アジア責任者の藤井さんとIT批評家の尾原さん。この本を読む前から、知り合いのコンサルタントから中国のITは進んでいる。今、見に行くべきはシリコンバレーではなく深圳と言われていました。そんなこんなを話しているときにコロナが始まり、バタバタ対応していてこの本の存在もすっかり忘れていました💦。夏休みに暇だったので何冊か読書していたのですがそのうちの1冊です。もっと早く読んでおくべきだったと後悔しました。我が社もDXへの移行を進めているのですが、私自身、どっぷり今までの仕事のやり方に浸かってきたためDXへの移行に限界を少し感じていました。このブログでも何度も語っている通り、昨日の正解が明日の不正解になるというやつです。頭では理解しているつもりでも、やはり過去の成功体験を持っていることはそれだけで新しい時代を迎えるにあたってはハンデになんだなと実感する瞬間が増えてきました。まあ、とはいえ変化に対応できなければ仕事になりませんから、ジタバタしていくほかないのですが。

さて、前置きが長くなりました。この本の肝心の内容ですが下記のような章立てになっています。

  1. 知らずには生き残れないデジタル化する世界の本質
  2. アフターデジタル時代のOMO型ビジネス
  3. アフターデジタル事例による思考訓練
  4. アフターデジタルを見据えた日本式ビジネス変革

デジタル化世界の事例に驚愕


アリババの新型店舗『フーマー』とは?|CNBC International

 

 この本の特徴は、これでもかというぐらい最新の事例を紹介している点です。今はすぐにネットで調べられるので便利ですね。どの事例も面白かったのですが、わかりやすさという点では、アリババが経営している「フーマー」という生鮮食品スーパーマーケットが目を引きました。アリババは中国国民の約半分の個人データを保有しています。そのため、出店前からこのエリアに出店すればどんな顧客が利用するのかも高い精度で予測が可能です。日本だとそこまでのデータをまず、1事業者が持つことはないですよね。このフーマーというお店は店舗の3km圏内であれば30分以内で配送してくれます。YouTubeの動画を見れば分かりますが、店内にはたくさんの店員がいます。スマホから注文が入ると、急いで商品をピックアップします。ピックアップされた品物は店内の上部を走るベルトコンベアで運ばれていきます。そして、店舗裏に控えている配送部隊から各家庭へ届けられるわけです。品物が頭上を行き来する光景も見ているだけで楽しくなりますよね。さらに、この店内の鮮魚コーナーには生簀があります。そして生簀の横にはフードコートが。選んだ魚介類をその場で調理して食べることができるのです。その光景を見れば、魚介類の新鮮さもわかるわけです。映像見てたら注文もしたくなりますよね。またその逆もしかりで、店舗に足を運んでみたくもなります。そして、店内の会計はすべてスマホで完結します。個人ごとのデータが集積されていくわけです。このことで、店舗はこの地域の利用顧客に最適な品揃えが可能になるわけです。個人に対しては、購入履歴をみながらお薦め商品の宣伝も可能です。リアルとデジタルがシームレスで繋がっているわけです。

 

OMOという考え方

この単語は初めて知りました。Online Merges with Offline 。オンライン、オフラインに関わらず顧客体験を重視し、顧客のあらゆるデータを収集し、さらなる顧客体験の向上につなげるという考え方です。顧客の提供価値にこだわるという視点は、私も従来から支持していましたが、オンラインもオフラインも境界なんて関係ないじゃん!って所までITでできる事が拡張されているのだと感じました。私も含めて古い人間はオンラインとオフラインを区別して考えがちですが、その発想自体が古いのだと反省しました。

 

信用がスコア化される社会

もう一つ驚いたのは、個々人の信用が評価される社会の到来です。アリババ傘下の子会社であるアント・フィナンシャルが導入したジーマ・クレジットです。これは、ネットでの購入履歴、提携サービスの利用状況、友人のネットワーク等の情報を掛け合わせて、ユーザの信用スコアをAIで弾きだすという仕掛けです。そして、その対象数は5億2000万人を超えています。自ら喜んでジーマ・クレジットに登録をします。何故ならスコアが高ければ高い程、様々なメリットを享受できるからです。アリババと提携しているレンタカー会社で車を借りる時にデポジットが不要。有利な条件で部屋が借りられる。海外の渡航ピザの取得期間が短くなる。中国社会が信用できないが故に、ジーマ・クレジットで自分の信用価値をあげた方がメリットが大きいと考えるそうです。私は自分の信用度がスコア化されるのは嫌ですが、これからは抵抗感がない世代も出てくるように思います。