クマ坊の日記

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【Book】ザ・ラストマン

 

 今日はビジネス本の紹介です。少し前の本ですが「ザ・ラストマン」著者は川村隆さん。日立製作所の元社長、会長を務められた方です。2017年から東京電力ホールディングスの会長に就任しています。川村さんはリーマンショック後の日立グループをV字回復させたことで脚光をあびました。当時のことは私も記憶に残っています。日立製作所が7000億円の赤字を出したときに、70歳で社長&会長に就任されました。当時の論調は否定的でした。再建が必要なときに70歳の社長?という感じで報道されていました。私も当時は同じような印象を持ちました。「70歳の人に改革を任せるほど、日立製作所は人材が枯渇しているのだろうか?」と考えていました。この考えが過りであったことはV字回復で証明されるのですが、この本を読んでさらに納得しました。

ラストマンとは造語です。「社長であれ、部長であれ、課長であれ、自分が担当している仕事の最終責任をとる人、最終的な意思決定をとる人」という考え方です。極めて基本的な話なのですが、最終責任を取らない、最終意思決定ができないビジネスパーソンが多い現代では稀有な存在なのかもしれません。

この本を読んで初めて知ったのは、川村さんが1999年にハイジャックに遭遇したという話です。「レインボーブリッジの下を飛びたかった」とか言って、犯人が機長を刺した事件ですね。その時の原体験がその後の自分のキャリアに大きな影響を与えたそうです。

この本は、経営観から、ビジネスパーソンとしての心構えまで幅広く平易に書かれています。川村さんの人柄がにじみでているように思います。いわゆる人格者ですね。こういう年の取り方は素敵だなと思います。おすすめの一冊です。